皆さんは、動物になれるのであれば何になりたいですか?
私はオオサンショウウオです。彼らの目にどんな世界が見えているのか、ずっと気になっています。実際は視力が高くないためあんまり見えていないみたいなことも十分有りえるかもしれませんが。
本作は、そんな動物視点の世界を描いた一作です。
映画『私がビーバーになる時』の感想です。
簡単あらすじ
※上記は、筆者チネローテル大家によるオリジナルのあらすじです※
Filmarks短評
映画『私がビーバーになる時』のレビューを書きました! https://t.co/r5nJx8r71m #Filmarks #映画
— チネローテル大家 (@cinerotel) 2026年3月14日
絵面が地味ながらちゃんと面白い
コメディ要素も結構ありつつ大人な成長物語感もあり
評価:★★★★(星4)
ネタバレなし感想
■エンタメ作としての出来は悪くないが……
話の展開は退屈せず、笑えるところもばっちりあり、現代にある問題提起としても悪くない一本でございました。
ただいかんせん地味さが否めないといいますか。いえ、さすがのPIXAR作品ということで描写における一定の水準は満たしておりますし、動物たちも可愛らしくしっかり作り込まれてはいるのですが、絵面が全体的に地味なのですよね。
更に言えば、この「ロボット(中身は人間ですが)と動物」という組み合わせに関しては、類似作として昨年の作品『野生の島のロズ』がございます。『野生の島のロズ』は、個人的には結構大人向けの内容だなとは思ったのですが、とにかく絵が非常に美しくて見応えが凄かったのですよね。ロボットが育児をするという点の独自性も高かったですし(ロボが徐々に野生の動物みたいになっていく点など!)。
ただ本作はなんかあんまり……。ここが見せ場だよなあ! という場面があまり思い浮かびません。もちろんクライマックスと言うかアツい場面はあるにはあるのですが、色合いが全体的に自然に寄りすぎていてやっぱり地味というか、メリハリがあまり感じられないといいますか。そこまで印象に残りづらい。どちらかといえばコメディに寄っている気はしますね。なので部分部分は面白いのですが、なんだか勿体ない気がいたします。
と、言いつつなんだかんだ楽しめてしまったクチではあるのですが。全体の流れはスムーズで、ちょこちょこ要素の回収もあって飽きずに面白く鑑賞できました。少なくとも去年の『星つなぎのエリオ』より個人的には好きでした。ただ要素としては『星つなぎのエリオ』の方が遥かにいいのだよなぁ、キャッチーで……でも脚本がね……(以下割愛)
ネタバレあり感想
ご覧になる際はご注意ください。
メイベルさあ……
本作の最大の問題点は主人公があまりにも猪突猛進過ぎることです!
正直好まれるキャラクター造形ではないのですよね。これは昨年の『星つなぎのエリオ』でもそうだったのですが、主人公があまり好きになれない。
もちろん完璧である必要はないのです。それこそ『リメンバー・ミー』のミゲルもどこか完璧ではない部分がある主人公ではありましたが、私はミゲルが大好きです。彼の悩みや苦しみはどこか理解できるから、無茶に思える行動も頷けてしまうのですよね。音楽のための努力も惜しんでいませんでしたし。
ですが、メイベルにはそれがない。自然と触れ合っている描写はあるものの、そのことがのちのち生かされているかどうかはちょっと怪しい。動物が大好きなら、それこそ動物のことを大学で学べばよいのにどうもそういうことをしているわけではなさそうだし(それどころか卒業も危うい描写もあり)、自然を破壊されたくないのであれば代案を示すべきですが、そうはしていないように見えました。感情論で人は動きはしません。人間はどうしても利便性を重視してしまう傾向にございますから。
そして本作のヒール役を一応担っている市長は別に超絶悪人というわけではない……ように見えてしまいましたので余計にメイベルがキツく見えてしまいました。動物を追い払う装置を作ってしまっていたり、車に乗り込んできた動物を振り落とそうとしたりしたのは大問題なのですが、メイベルの周囲への迷惑のかけ方の描写の方が強いせいでなんだか印象が薄まっている。最後に和解する以上市長を必要以上に悪く見せるわけにはいかなかったのだろうけれど、もうちょっとなんとかした方がよかったんじゃないですかね。もっと別の黒幕を上に立てるとか。
メイベルが終盤に「自分が事件を起こすせいで全てがもっと悪くなる」と落ち込む場面がございましたが、そのこともっと早く言ってよ! と思いました。分かっているならさあ……分かっていてもどうしようもないみたいな雰囲気を出してくれればまだ……。
哺乳類の王のキャラ性
これに関しては凄い良かったです。理想の王というか、カリスマ性もありますし周囲への気配りもできて、気弱な部分もありますがそれがむしろ重要。とってもステキなキャラクターでした。まあ、あの優しさは施政には向かないかもしれませんが、片腕がいればなんとでもなるタイプ。
本作ではその片腕ならぬ「足」がメイベルだったわけですが、メイベルはなぁ……なんというかデモの指導者になりそうでよくない。思想が過激すぎる。ちゃんと双方の立場を見て物事を考えなくてはいけませんよ。
コメディとして
コメディまわりというかギャグシーンは全体的に好きでした。絵文字の場面や空飛ぶサメの場面とか、ラストのアリさん宅急便とか。センスがいい。本作は話の構成上仕方がないのですがなんだかんだ結構しんどめの場面が多いため、いい清涼剤になっておりました。
ラストシーンも、いいよね……。コメディとして使われていた絵文字の読み上げが、ちょっとしたコミュニケーションっぽくなっているの。
本作好きな場面も結構あるのですが、やっぱりメイベルのキャラに慣れるまでが大変なのですよね。色々勿体ない!
映画『私がビーバーになる時』の感想でした。
鑑賞したタイミングの都合かもしれませんが、異様に人入りが少なくて困惑しました。やはりドラえもんと同時期に上映するのは分が悪いか? なぜこの時期にピクサー映画が? 去年は夏頃だったと記憶しているのですが。ううむ、やはり絵面が地味なのが響いているのやも……。

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