チネローテル 映画感想ブログ

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【映画感想】クライム101(ネタバレ有)_ままならない世の中で得た希望は果たして本物か?

【お詫び】2026/02/17 19時に、当記事の編集前・テンプレ状態の記事が誤って予約投稿されておりました。該当記事は削除済です。大変失礼いたしました。

皆さんは「それぞれの正義」というワードにどのような感情を抱かれますか?

よく言えば格好良く、悪く言えば逃げ・体のいい言葉である、私はそう感じます。生きる人間それぞれの個があり、守りたいルールがあって、重んじる信念がある。それはとても美しく時に歪で、人間の魅力の一つなのだろうなあとも。

それはそれとして既存のルールは守ってほしい、そんな映画でございました。もっと言えば道路交通法。

 

映画『クライム101』の感想です。

簡単あらすじ

この4年間、とある強盗事件に警察は頭を悩ませていた。事件の共通項は「けが人がいない」「犯人の痕跡が一切残らない」、そして事件は必ず「アメリカ西海岸線、ハイウェー101号線沿線で発生する」。これらの事件を同一犯によるものと睨む刑事ルーだったが、彼への署内での視線は冷ややかで……。それでも独自に捜査を続けるルー、独自の美学を持ち強盗を繰り返すデーヴィス、彼の正体を知らずに交流を続けるマヤ、保険会社に所属するも地位が上がらず鬱屈とした日々を送るシャロン。登場人物らの行く末が事件を通じ交錯していく。

※上記は、筆者チネローテル大家によるオリジナルのあらすじです※

Filmarks短評

評価:★★★★(星4)

 

ネタバレなし感想

■みんな転職するしかないのか

クライムモノあるある、警察は仕事ができないなぜかマトモなことを言っている刑事が厄介者扱いされる悲しい世の中!

警察に限らず、この作品に登場する人物たちのほとんどはそれぞれの職業に悩んでいるフシがあります。一所懸命やっているのにその努力を理解されず、バカバカしくなってしまう人たちのなんと多いことか。それでも信じて突き進むけれど、行き着く先は果たして……という。

格好いい予告からお出しされる内容にしては少々世知辛すぎやしませぬか。そういう意味では思っていたのと違う映画でございましたね。外連味強めの作品なので冷静に考えずにぼんやり楽しむのがいいのかなぁと感じました。

 

■危険運転反対!!

いくら痕跡を遺さない強盗をやっているとはいえ、逆走・信号無視・スピード違反上等の運転を披露する必要はないのでは? うっかり捕まってしまったら普通に不利になるのでは?

私には導入の意図がよくわかりませんでしたが、本作には謎のカーチェイスシーンが結構あります。危険運転で凄まじい状況を起こしまくりながらも警察が微塵も追いかけてこないので多分この世界における道路交通法は存在しません。絶対に道に出たくないな……。

まさかアメリカで道路交通法が存在しないなんてことはないですよね?

www.ecodriveautosales.com

……ありますね!(当たり前です)

 

ネタバレあり感想

注意
ここから先は、映画『クライム101』のネタバレが含まれます。
ご覧になる際はご注意ください。

 

 

 

雰囲気ヨシ、掘り下げナシ

本作は全体的な雰囲気がよいです。メインキャラの一人であるデーヴィスの家なんて海の見えるモダンな建物ですし、雇い主と打ち合わせをするちょっと小汚い雰囲気の屋外の店なんてのもまたイイ。話の途中で出てくるレストランの雰囲気もまた洒落ていて、画作りというか絵のトーンというのですかね。その辺りが一貫していて綺麗だったなという印象でございます。

雰囲気やビジュアルはよいのですが、その一方でキャラクターたちの背景があまり描かれません。デーヴィスはなぜそこまでお金を欲しているのか(多少想像はできるとはいえ具体的ではない)、なぜマヤはデーヴィスに惹かれたのか、なぜルーはうだつのあがらない刑事となってしまったのか、なぜシャロンは昇進に恵まれない仕事人生になってしまったのか……そのあたりは察するしかありません。
ルーやシャロンに関してはまだなんとなく想像がつきますが、デーヴィスに関しては彼の仕事も思考も全く理解できないのでもう少し取っ掛かりがあるとよいのかなと感じました。性格などは行動からにじみ出ていますが、その性格を作るに至った過程を知りたかった気持ちがある。

 

鬼平犯科帳?(違います)

名作時代劇に『鬼平犯科帳』という作品がございます。盗賊改(盗人を取り締まる係のようなもの)の長谷川平蔵が盗賊を成敗する話なのですが、この作品における盗賊には「いい盗賊」と「わるい盗賊」という概念がありまして(?)、要するに「金を盗む上で盗み先の人々に危害を加えない」のが「いい盗賊」ということでございます。極論言えば、盗人にいいもわるいもないのですが……。
ただ、長谷川平蔵はその辺りを理解していて、「いい盗賊」には温情をかけることもあるのですよね。このあたりの、なんですかね、人情噺といいますかそういう雰囲気が本作にもあったなぁと。

逮捕の危機に陥るデーヴィスだが、ルーを命の危機から救うことで見逃される。デーヴィスは礼としてルーにクラシック・カーをプレゼントし、おそらく盗みから足を洗い恋人とともに新たな生活を始める。ルーもルーで、デーヴィスに協力を申し出て顧客情報を提供してしまったシャロンを見逃した上に「誰も探さない」ダイヤまで譲ってしまう。

登場人物それぞれが自分の職業に対して持っていた信念というか、越えてはいけない何かを越えてしまい、なんだかんだで幸せを手に入れている。諦めてしまったら案外楽になったなあ、みたいなことなのでしょうか。最終的に三者三様凄いハッピーエンドみたいになっているのですがこれ本当にいいんですかね? 

デーヴィスは元の雇い主に顔が割れていますし、今後も安全な保証は一切ありません。ルーがシャロンに行ったことはおそらく犯罪ではないか? と思いますし、シャロンは顧客情報を外に流出させるという立派なNG行為をやらかしています。いえ、人間として心が揺らいでしまうのはわかるのですが、これで全員ハッピーエンドでいいんだ……? という。シンプルな困惑でございます。

とはいえ一定のエンタメクオリティのある作品ではございますので、深く考えずに楽しむのが正解なのでしょうね。

 

映画『クライム101』の感想でした。

自分の信念を曲げれば楽になれるなんて、わかりきったことではございます。ですがそこまでして楽をしたいかと言われると首を傾げてしまう、そういう存在にとってはこの映画の人々がやったことはどうにも理解しがたいと感じてしまうのです。
だって、今までの自分を否定することになるのは嫌ではございませんか。そんな希望、いつ色褪せるかもわからないのに。

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crime101.jp