チネローテル 映画感想ブログ

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【映画感想】ほどなく、お別れです(ネタバレ有)_故人のためだけではなく、これから生きていく者のためにも

皆さんは、冠婚葬祭における「葬」、どのようにお思いですか。
私は正直なところ、気持ち的にはつい遠ざけてしまうものです。

生きていた誰かとの別れを儀式として執り行う。私は幼い頃から葬儀に出席する場面が点々とあり、普段平然と生きる人々が涙を流すという状況に一種の異様さを感じたのを覚えております。無論、そういう場であることはわかるのですが、皆一様に似た服(喪服)を着用し遺影に頭を下げる姿が不思議に思えたのです。

今でこそ葬儀の意味はかつての頃よりは少しわかったような気もしつつ、なかなか触れづらい題材という印象は否めず。けれど生きている以上、いつか向き合わなければいけない事象なのだということはわかっております。そしてそのような儀式を支える人々がいらっしゃるということも改めて認識しておくべきだなと、本作を鑑賞し思った次第です。

 

映画『ほどなく、お別れです』の感想です。

簡単あらすじ

就職活動に苦戦する美空は、葬儀に参列した後に妊婦の女性と出会う。しかし彼女は既に亡くなっていた。美空には死者が見える特別な力があった。女性に伝言を託された美空は、会場にいた葬祭プランナーの漆原に言付けを頼むのだが――この出来事をきっかけに、美空は漆原にスカウトされる。葬祭プランナーのインターンとして働くことになった美空だが、業務の忙しさと漆原の厳しさに辟易していた……。

※上記は、筆者チネローテル大家によるオリジナルのあらすじです※

Filmarks短評

評価:★★★★(星4)

 

ネタバレなし感想

■葬祭プランナーという仕事

本作は創作作品でありながらも、葬祭プランナーがどのような仕事をしているのかをうっすらと知るきっかけを作ってくれる作品でございました。参列する側からすると、どうしても式当日はそれどころではないためあまり認識がございませんが、式というイベントごとである以上関わる人々がいるのは当たり前。大変な仕事だなぁと強く感じました。

人が別れを惜しむ姿に立ち会わなくてはいけないというのは、かなり辛いのかなと門外漢ながらも思いつつ、けれど大事な仕事ではあるのだとも思いつつ……役者の方々は役作り大変だったのでは……。演技派の方が揃っていることもあり、変な意味で軽くは見えず地に足ついた印象のある作品でございました。

 

■幽霊が見えるという設定について

そういうものなので深くは考えるべきではないと思いつつ、あまりにも展開に合わせた便利力過ぎませんか!? 無条件に幽霊が見えるわけではないのかな……。勝手な印象でございますがそういう感覚をお持ちの方は葬祭プランナー向いてないのでは。大丈夫なのでしょうか? ただ霊感を持った理由が少し特殊なので、そういうものか。

これは余談ではございますが、自分の知り合いに霊感持ちの方がおりまして、その方は企業所属の司会業をやられていたのですが、結婚式の司会だけでは食べていけないということで葬儀の司会も担当されるようになって、それからほどなくして仕事そのものを辞めておられました。まあ、これはリアルの話なので……創作は創作でございますね。

 

ネタバレあり感想

注意
ここから先は、映画『ほどなく、お別れです』のネタバレが含まれます。
ご覧になる際はご注意ください。

 

 

 

重くなりすぎない工夫

本作はオムニバス形式の映画で、複数のエピソードが盛り込まれております。なので、様々な事情を抱えた喪主の方々が自分の気持ちに区切りをつけるまでの話になっており、正直に申し上げればかなり重く辛いです。必ず別れがつきものでございますから。

ただ、オムニバスだからこそ話の合間などに美空の普段の生活場面や、漆原と美空のどこか微笑ましい(?)やり取りを挟むなどしてできる限り暗く重くなりすぎないような工夫が成されている印象でございました。

それはそれとして、一応清涼剤的な役割もありそうな漆原の過去シーン(尚優しい世界は一瞬であるので言うほど清涼剤でもないかもしれません)と、現在の性格というか雰囲気があまりにも違いすぎて、そうならざるを得なかった現実を想い、さすがに頭を抱えざるを得ませんでしたね。
というか、そのエピソードを抱えてよく葬祭プランナーなろうと思えましたね……あまりにも鋼過ぎませんか。

 

向き合うということ

人は生きている以上、いつか必ず寿命が来る。長生きすればするほど、見送る側になる。今を生き続けるからこそ、区切りは必要なのだと。

個人的には、あまり葬儀という存在の意味を理解しきれていなかったのですが、本作を観て少しではございますが理解が進んだ気がいたします。故人を知る者皆で故人の死を悲しみ、惜しみ、見送って「また会いましょう、ほどなく再会できますから」の気持ちを伝える会。それは……確かに大事なものだなあと。

亡くなった方の会ではありながらも、これから生きる人々のための会でもあるのか、と。別れを惜しむ場があるというのは良いことなのだなとしみじみ思いました。前を見るためには区切りをつけなくちゃいけないものなあ。

 

 

 

映画『ほどなく、お別れです』の感想でした。

予告上映前に葬儀場の宣伝が入って一瞬困惑しました。新しい……。タイアップということなのでしょうが、ちょっと身構えてしまう。近頃葬儀のCMもよくテレビで流れておりますよね。遠ざけすぎてはいけないけれど、身近すぎるのもいかがなものなのでしょうか。難しい……。

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