皆さんは、あだ討ちについてどのような感情をお持ちでしょうか。
私は正直難しいといいますか、仇敵を自らの手で殺めることを認めていた時代があったことが凄いなと感じます。しかも江戸においては名誉のひとつとされていたわけで、このあたりは時代なのでしょう。
今の日本ではそれが法の下に整備され、裁かれるのは然るべき場所で、かつ必ずしも命を落とす形に至らない場合もある。やはり一口には言い表せない難しさがございますね。
本作は、父を失った息子による名誉のあだ討ちから話が始まるのですが、そこそこ血なまぐさい話になっているのかなと思いきや意外にも老若男女にオススメできるエンタメ時代劇ミステリーに仕上がっておりました。
映画『木挽町のあだ討ち』の感想です。
簡単あらすじ
※上記は、筆者チネローテル大家によるオリジナルのあらすじです※
Filmarks短評
映画『木挽町のあだ討ち』のレビューを書きました! https://t.co/xvIEKohcYQ #Filmarks #映画
— チネローテル大家 (@cinerotel) 2026年2月28日
いいミステリでした 主人公のキャラがいい
評価:★★★★(星4)
ネタバレなし感想
■雰囲気がイイ!
江戸の街や、出てくるお店などの雰囲気が全体的にいいですよね。華やかさをしっかり捉えてくれるカメラの感じも好きでした。色合いも、予告の時点ではかなり鮮やかなのかなと懸念していたのですが実際鑑賞してみるとそんなことはなくバッチリ馴染んでおりました。
余談ですが、町並みの雰囲気はどことなく親しみがございましたね。東映の映画なのでロケ地は東映京都撮影所のようですが、もしかして『侍タイムスリッパー』で見ていたからかも。昨年の『室町無頼』といい、東映の時代劇は結構好きな気がいたします。どちらの作品も主役どころにアイドルの方を据えられているのも共通点が…………あれ!? 室町無頼も同じ方じゃなかったですか!? (検索中)あっやはり同じ方だ!! 「なにわ男子」の長尾謙杜氏だ! 東映に長尾氏を時代劇に推そうとするなんらかの勢力が存在するのか? 個人的には『室町無頼』の時よりハマり役と感じました。
■役者陣がイイ!!
疎い私でも存じている方々がたくさん出演されていて驚きました。なんて豪華な一座なんだ。どのキャラクターも出番の多い少ないはあれど皆個性的で印象が強くキャラが立っており、とても良かった。描写が決して多くなくとも「このキャラいいな」と感じるのは間違いなくベテラン役者陣の実力のなせる技でございましょう。
個人的には主人公にあたる総一郎役・柄本佑氏の演技がとても良かった。人誑しで掴みどころがなくて、けれど強い信念を持っているだなんてあまりにも“良”ではございませぬか? 好きになるなという方が難しいタイプのキャラクターでございました。ずるいひとだ。
そういえば『侍タイムスリッパー』の山口馬木也氏も出演されていらっしゃいましたね。役どころの方向性がぜんぜん違うので、中盤のとあるシーンまで全く気づきませんでした。今後のご活躍にも期待!
ネタバレあり感想
ご覧になる際はご注意ください。
「木挽町の徒討ち」!?
タイトル回収がお洒落過ぎる。
どうしてあだ討ちと、ひらがなで開いているのだろう? これも「語い」みたいな悲しき文字開き文化のなんやかんやでございますか? などと考えていたのですがしっかり意味があったのですね。
本作のあだ討ちは仇討ちではなく、徒討ち。つまり本物の仇討ちなどではないのです。これは菊之助の母に請われ、森田座の立作者・金治らが仕組んだ偽物の仇討ち。なんというか……粋でございますよねえ。いいなあ~となりました。
てっきり血なまぐさドロドロ模様を目にすることになるのかと覚悟しておりましたので、まさかこんなステキミステリーがお出しされるとは予想しておらずいい意味で裏切られました。終盤の「再演(もとい解決提示編)」の際は客席から笑いすら起こっていましたからね。このあたりは少し『カメラを止めるな!』と同系統の方向性を感じました。とはいえ「実はこのときこうなっていた」シーンって魅せ方難しいでございますよね。自分としては少々冗長に思えてしまいまして。いえあの、総一郎のキャラが好きだったものですからその辺りをもっと見たかった気持ちも、あり……。総一郎の急な怒り(首ドカンによる感情の発露)に一瞬笑ってしまいましたが笑っている場合ではない。そりゃあその怒りもごもっともよ。怒りだけではなかったのかもしれないけれど。
それから、血なまぐさについてはちょっぴり物足りない気持ちもございましたが、それは個人の好みということで、ひとつ。
ちゃんと検めて?
作り物の首の作り込みが見事だからってあんな雑に検分することあるかいな! お主ら奉行所やめてまえ!
いえそうしないと話は進みませんので是非もなしなのでございますが。ちょっと笑ってしまいました。まあそれほどに凄いクオリティであることは確かなのですがね。
そうするしかなかったとはいえ……
菊之助の父が取った行動は、なんというかあまりにも自己犠牲的というか、もっと言えば固まってしまった無茶過ぎる考えというか。そこをどうしようもできなかった総一郎はしんどかったろうなぁと。
菊之助の母と金治の機転により、更なる犠牲と菊之助が拭いようのない傷を負うことは防がれましたが、菊之助からしたら父親の乱心の理由はわからずじまいで……(とはいえすべてが終わった後は知ることができたのやも。討たれたはずの彼も表に出ることを許されていましたしね)。とはいえこれも時代ゆえか。色々な人に相談すれば何かが変わったかもしれないけれど、相談する上でよくない人に情報が渡ってしまったらと考えるとその辺りも難しく、菊之助の父の正義感が自らを犠牲とすることを良しとしてしまったのか……殿様ァ~。
時代の通例というか、その辺りを覆すのが女性の一声というのは色々考えさせられる部分ではございますよね。菊之助も詳細は描かれていませんでしたが振り袖を着ることを嬉しく思っていたようなので、性格的にもいわゆる侍らしい侍ではないことは伺えますし。元気で自分らしく生きてほしい、菊之助殿。
森田座の舞台、是非ともお目にかかりたいものでございますなあ。
映画『木挽町のあだ討ち』の感想でした。
超余談でございますが、仇討ち場面を照らす明かりが好きでした。一瞬「え!? ライト!?」と思いきや中に入っているのがロウソクでおぉ……となりましたね。ああいう現代アイテモの始祖を目にすると、妙にワクワクしてしまうものでございます。

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