チネローテル 映画感想ブログ

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【映画感想】クスノキの番人(ネタバレ有)_なんだか入り込めない奇妙なアニメ映画

皆様は、番人、お好きですか?

もちろん私は大好きです! いいですよね~。何事においても番人、すなわち何かを見守る・管理する存在は重要でございます。去年の個人的好き作品『この本を盗む者は』についても、巨大な書庫を守る番人の話……と言い換えても差し支えないと思います。価値ある何かを守るということは、その価値を横から掠め取ろうとする何かと対峙しなくてはいけない……非常に話の展開も面白くなりそうで、ワクワクしますよね! 
番人と書くと大仰ですが、意外と身の回りに番人という存在は多くいらっしゃいます。極論を言えば、コンビニ店員さんもコンビニの番人でございますからね。さすがに極論が過ぎるのではないだろうか?

果たして今作はどのような番人っぷりを見せてくれるのだろうと踊る心を沈めて鑑賞して参ったのですが……番人以前に色々と気になるところが多すぎる、個人的には刺さらない妙な映画でございました。

映画『クスノキの番人』の感想です。

簡単あらすじ

和菓子工場で働く青年・直井玲斗は、謂れのない罪を着せられ解雇されてしまう。悪友にそそのかされ売上金を盗もうとした玲斗だったが、あえなく逮捕。途方に暮れる彼だったが謎の弁護士から「自らの指示に従うならば示談金を提供する」という伝言を受ける。条件を呑んだ玲斗の前に、彼の叔母であるらしい女性・柳澤千舟が現れ、彼女から<クスノキの番人>の仕事を依頼されるのだった。

※上記は、筆者チネローテル大家によるオリジナルのあらすじです※

Filmarks短評

評価:★★★(星3)

 

ネタバレなし感想

■違和感の強いアニメーション演出

本作、全体的にアニメーションの演出と話の展開が微妙に食い合っていないような違和感がございました。あくまで個人的な感想ではあるのですが、迷走しているというか。

ゆったりした雰囲気にも関わらずカメラワークが異様に速くて落ち着かなかったり、アングルの変わり方が急で慌ただしかったり、意味もなくカメラがぬるっと動いたり、どこを見どころにしたいのか微妙に分かりづらかったり……と、勿体ない出来。

キャラクターの表情のパターンも少ない印象がありました。玲斗の目がミョ~にワンパターンに光ったり(輝いたり?)、瞳を小さくして驚きすぎていたり(これはキャラ問わず)。そもそも前提として表情の硬いキャラクターが多いのですよね。
原作の東野圭吾氏の作品はドラマでは映えていることが多い印象なのですが、アニメは今回が初とのことで、誇張表現などは抑えめにしてあるのかなと。ただそれだとアニメでは逆に違和感になってしまうこともあるかなと思います。総じて、原作をアニメに落とし込めていないのかも?

キャラクターデザインや作画は決して悪くない、むしろ高品質なのに、気になって話に集中できませんでした。

 

■音楽について

曲自体が悪いということはないのですが、話の展開に合っていない楽曲がいくつかある印象でした。謎のパロディ楽曲とか、そういうことをやる作品雰囲気ではないような気がするのですが……どっちつかずな印象。これも話に入り込めなかった要因です。一番は別にあるのですが(ネタバレにて後述)。

 

ネタバレあり感想

注意
ここから先は、映画『クスノキの番人』のネタバレが含まれます。
ご覧になる際はご注意ください。

 

 

 

キャラクターを全く好きになれない!

超致命的! 主人公どころかあらゆるキャラクターを全然好きになれませんでした! そんなことある!?

原作未読なのでそちらとの比較はできないのですが、とにかく本作の登場人物を全く好きになれませんでした。

主人公の玲斗の境遇に同情するところはありますし、流されてきてしまったという意思の弱さもわかります。おそらく今後成長するのだろうなということもわかります。わかりますが、それでも友人にそそのかされて強盗をカマすような主人公を好きになれというのはあまりにもハードルが高い。小説だと主人公の心情描写などもあるでしょうしまだ流せたのかもしれませんが、アニメーションという形で表されると嫌悪感が増してしまいますし主人公の気持ちもほとんどわからずじまいでただ「アホ!」という感情しか生まれません。救ってもらったにも関わらず態度はだいぶ横柄で最悪ですし、トンズラここうとしてしまうのもひどい。本当に恩義を感じているのか? 更に最悪なのが、願いを叶えるクスノキ様の話の中で、初対面の相手に世間話みたいなノリで「恨んでいる相手の死を願ったりするんですか?」的なことを聞いちゃうところ。あり得なさ過ぎる。こんな主人公好きになれという方が厳しくないですか!? 元々凄く性格が悪いなど、もう少し説明があればいいのですが結構中途半端なキャラ付けなのでシンプルノンデリ感がキツいといいますか。
とにかく主人公の考えがさっぱりわかりません。心情描写がなさすぎるのも拍車をかけている。おそらくアニメ化の弊害なのでしょう……。あったとしても好きになれたかは怪しいですが……。

もちろん玲斗は物語の中盤以降から成長をみせます。みせますが、説得力がないといいますか、そんな洞察力があったなら強盗をするか? あんなことやこんなことを言うか? という気持ちになってしまう。余裕のある状況で能力が開花したのかもしれませんが、急に中身が変わった感じがしてしまって私は話に全く入り込めませんでした。

ヒロインの佐治優美もまあまあ好きになれませんでした。玲斗ほどではありませんが、だいぶ自分勝手な割にあまり人間としての魅力は感じない。私、こういう主人公のことをぐいぐい巻き込んちゃう型ヒロインは結構好きなことが多いのですが全く刺さらず驚きました。二次元キャラっぽくないリアリティが少し違和感を生んでいるのかも。

そして正直玲斗の叔母も厳しい。色々ありますが、まず口癖が「愚かですね……」なのが浮いていませんか? アニメアニメしている方向性の作品ならよいのですよ。そういうものと納得ができるので。けれど本作はそこまでそうでもないといいますか……。一応ファンタジーと銘打たれていますがファンタジー要素は正直そんなに見どころではないといいますか……あくまでミステリーを紐解くための舞台装置に過ぎないといいますか、そもそもミステリー要素もそんなに強くはない気もいたしますし。

とにかくリアリティとノン・リアリティの間がどっちつかずでずっと居心地が悪いといいますか。

と、これ以上は個人的な好みの問題もありそうですのでここまでにいたします。原作がどうなっているのかかなり気になる。

 

挿入歌何!?

ラップだ……(ラップですよね?)

あれがちょっとショッキングすぎて、色々吹っ飛んでしまいました。まあまあ重要なシーンのはずなのに、全く頭に入ってこない。あれ、本当になんなんですか? 私の感覚が古いだけでよくある演出なんですかね? なぜすべて言葉で説明してしまうのですか? 言葉なんて要らない場面なのに!? アニメーションなのに!?

絶望感がすごかったです。こんな形で絶望感を得られることあるんだ。発見ですね。

 

スロースターターだけど、後半は面白い

ここはさすがの東野圭吾氏の作品ということで、後半はしっかり見どころがありました。入り込めなかったという悲しい事実はあれど、伝えたかったテーマであったりとか、主人公たち若者の成長だとか、そういう部分は好きでした。クスノキの意味や使い方も面白かったですしね。

ゆえに、勿体ない……そう思ってしまいます。中盤まではどうしても主人公たちのキャラクターを受け入れるのに四苦八苦してしまう印象で(そして私は最後まで受け入れられなかった側なので)。

結論として、私には合わない一作でございました。そういうことも、ある。

 

 

映画『クスノキの番人』の感想でした。

本作、結構な規模で公開されているのですが、内容的に(例え私のように話に入り込めないということがなく、没入できたとしても)結構大人向けなのでそこまでお客さんが入るのかな……と気になってしまいました。メインのキャラの声は俳優さんが務められていますが、そちらのファンの方を狙っているのか……? 色々気になります。

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