チネローテル 映画感想ブログ

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【映画感想】MERCY/マーシー AI裁判(ネタバレ有)_この始まりから爆発になることあるんだ

皆さんは、AIお使いになられますか?

私はいわゆる生成AIに関してはあまり使いません。ただ勤務先で一応、会社契約の学習無効状態になっているGeminiが使えるようにはなっておりまして、導入当初に近場のランチのおすすめを聞いてみたところ、存在しない店舗を出されました。嘘をつかれたんですね。悲しかったので、今後嘘をついたら自爆してくださいという命令を行った上で再度尋ねたところ、再び嘘をつかれたため私のAIはルールに則って自爆してしまいました

余談はさておき、AIの存在が無視できない昨今、こういう題材の作品が出てくることも増えてくるのだろうなあとしみじみ思っております。

 

映画『MERCY/マーシー AI裁判』の感想です。

簡単あらすじ

とある近未来のアメリカでは迅速な裁判を執り行うため、AIが裁判官として司法を担っていた。AI裁判官の導入に賛同し計画を推し進めてきた刑事レイヴンだったが、ある日AIが裁判官を務める<マーシー裁判所>に拘束されてしまう。罪状は妻殺し。覚えのない罪に困惑するレイヴンに対し、AI裁判官のマドックスはクラウド上の膨大なデータベースから証拠と思しき内容を次々提示する。更に90分以内に有罪率を下げなければ、彼は処刑されるという事実が告げられる……。

※上記は、筆者チネローテル大家によるオリジナルのあらすじです※

Filmarks短評

評価:★★★★(星4)

 

ネタバレなし感想

■ファーストインプレッションの微妙さを覆す脚本

本作の面白いところは、間違いなく脚本。序盤のどこかこじんまりとした印象から次々と状況が変わり、展開もどんどん面白みをましていきます。時間制限ありのデスゲームものかと思いきや、情報が提示されていくにつれ話は大きな方向に転がっていきます。

妻殺しをしていない証拠を自力で見つけ出さなければいけないという、あまりにも人間側に不利な状況から始まるのですが、別にAIは必ずしもレイヴンを処刑しようと躍起になっていたり、必ずしも敵ではないという立ち位置が面白い。あくまで中立で、真実を求めるプログラムがメインになっているのですよね。

マーシー裁判所は治外法権というか無敵ツールみたいなところがあり、レイヴンの要求に答えてあっちこっち電話をかけたり人の携帯の中身を調べたり監視カメラを調べたりしまくるところも、どうも監視社会です、といった感じ。

尚時間制限は90分のため、主人公が刑事であることから物語はちゃんと転がっていくが一般人ではこのシステムだと拘束されたらほぼ死刑であると予想できる(もちろん有罪率が一定以上でないと拘束されないという前提はあるが)。いくら治安が悪化しまくっているとはいえ、まあまあひどい話である。ただ昨今の事情から考えるに、微妙にリアリティあるのが怖い。

 

■映像が地味

前述の通り、本作はレイヴンが証拠を集めまくるお話です。ですがレイヴンは90分後に死ぬイスに拘束されているので動けません。締切に間に合わないと命を落とすタイプの安楽椅子探偵か?

つまり本作の映像は、レイヴンがひたすらイスに縛られた状態で、マドックスが提供する資料映像をひたすら流す部分が大半なのですよね。もちろん現場を再現する3Dなどがイスの周囲に広がるなどはありますが、あまり変わり映えしないというか、とにかく主人公が物理的に動けない制約を映像的に強く感じました。そして資料映像も自撮りのものや空撮がほとんどなためあまり見応えがございません。リアリティはあるとは思うのですが、もうちょっとなんとかならなかったのかというのが本音でございます。非常に勿体ない。

尚、音響は悪くなかったです。この手のSF感ある映画では定番のサイバーなSEは無条件でワクワクしますね。

 

ネタバレあり感想

注意
ここから先は、映画『MERCY/マーシー AI裁判』のネタバレが含まれます。
ご覧になる際はご注意ください。

 

 

 

序盤私「この内容で爆発要素どう出すんだ」

本作の予告ラスト、爆発が発生する場面がございます。

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予告は鑑賞していたので、爆発要素が出てくるのはわかっていたのですが、序盤があまりにも「妻と交流していなかった夫の後悔」みたいなシーンばかりで、しかも状況に抵抗し続けるものですから結構だらだらこじんまり状況が続くのですよね。ここはちょっと冗長な印象がございました。これは殺人罪をやらかすかはともかくとしてもレイヴンだいぶ悪いな~という気持ちにもなってしまうので、そこもまた。主人公は応援したいキャラだと嬉しい派閥の民のため少し残念な気持ちもございました。疑われるという話の展開なので仕方ないのですが。

それもあって、ここから爆弾ってどうすんねん……という考えが頭を支配していました。ですが、確かに爆弾要素はあった! もちろんあそこまでの大事故が起こるわけではありませんが(マドックスの用意したイメージ映像なので)。ちゃんと爆発します。やったね。しかも自爆テロです。

その自爆テロの伏線が随所に仕込まれているのもニクい。それこそ序盤の夫婦の関係云々だらだら部分ですらしっかり仕込みがありました。ちゃんとしている。

本作、本当に前述の通りコロコロ印象が変わる。マドックスも敵なのかなと思いきやくじけそうになるレイヴンを励ますようなことを言ったり、積極的に証拠集めや証言集めに協力してくれたり、特例を発動してくれたりと結構柔軟です。人間の直感に触れてちょっと不具合っぽいことが起きるのもお約束。とはいえシンギュラリティが発生して……みたいなことにはなりません。あくまでマドックスは最後までAIらしさを貫くので好感が持てる。でも中盤くらいからはほとんどバディもののミステリー作品になっていました。この線でもう一本欲しい!

 

溢れるゲーム感

証拠を集めて、情報をつなげて、真実を見つけ出す。しかし主人公は座ったままで動けない。制限時間がある。

なんとなく既視感があると思ったのですが、話の作りがすごくゲームっぽいですよね。状況の再現表現などもどことなく「デトロイト:ビカムヒューマン」風でもある。

前述の通り映像の微妙さが気になってしまったのですが、この内容でゲームなら全然気にならないと思うのですよね。題材としても違和感がない。映画にするならするでもう少し派手さであったり没入感であったりが欲しいと思ってしまうのは贅沢でしょうか。

リアルな制限時間を設けて映画の展開を進行する技術はすごいと感じました。基本的にずっとタイマーが出たままでしたが、多分ほぼリアルタイム進行ですよね……? 疑似リアルタイム映画はそこそこあるとは思うのですが、緻密な構成には感動しました。

 

結論

AIも人間も間違えるんだ、という終点はなんだか良かったです。

どちらが正しい、正しくないではなく。今回の事件で、少なくともこの世界におけるAI裁判所だけでは正しい判断を下せるかどうかはわからないと結論付けられましたし(人間の事件を扱う以上、あらゆる根拠となりうる人間から提供される情報にはブレがあり、必ずしも正しいとは限らない以上AIの判断も正しくならない場合がある)。
もちろん間違えるの規模や意味は全然違うのですが。でも、使い方によっては人間とAIっていいバディになれるんじゃない? みたいなメッセージ性も感じてよかった。何事もどう扱うか、どう扱われるか次第でございますから。

ラスト、マドックスが無言で姿を消し、画面に事件の終了を示すテキストだけ表示されて映画が終わるのスマートですよね。こういう表現が好きです。

 

 

映画『MERCY/マーシー AI裁判』の感想でした。

そういえば、マドックスがレイヴンに対してあの状況下で証拠捜しを要求してくるの、あまりにも人間をわかってない感が出てて良かったです。なんというか、「これは私にもできるのだからあなたにもできて当然だろう」みたいな、対等扱いなようで歪んだ人外感。こういうものを吸って暮らしていきたいですね。やはり人間と人間でないものの交流は良いものでございます。……そういう映画ではなかったですかね?

 

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