チネローテル 映画感想ブログ

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【映画感想】禍禍女(ネタバレ有)_私を差し置いて念願成就してんじゃねーよ!

皆さんは、恋愛映画、お好きですか?

私はそこまで得意ではないのですが、様々な“愛”の形を、あらゆる人の手によって魅せていただけるという意味では非常に面白いコンテンツだなと思っています。
ですがその一方で、愛とホラーは紙一重でもありますよね。愛、聞こえは良い言葉ですが、立場や状況が変われば執着という言葉に置き換えられてしまう場合もございます。特に、気持ちのない相手からの愛情ほど恐怖を覚える……とはよく聞く話。思いを伝え合うって難しいことでございますからね。言葉ではできているようで、実は全然伝わっていなかったなんてこともざらにございます。今では“告白ハラスメント”なるワードすら生まれているようです。

本作はまさしく告白ハラスメントあるいは告白バイオレンス映画といいますか、想いを伝える・確かめるという行為がなければそれはただの暴力と変わらない、そんなパワータイプの映画でございました。

 

映画『禍禍女』の感想です。

簡単あらすじ

禍禍女とは、女の幽霊である。非常に身長が高く、好きに“なられてしまった”人にしか視認できず、見初められれば死ぬまで一生付きまとわれる――友人からそんな噂を聞き恐怖する男子高校生。彼は今もまさに、それらしい女の気配を感じているという……。これは禍禍女に苦しめられる複数の男性らの末路と、禍禍女の正体を探り追い払おうとする人々らの物語である。

※上記は、筆者チネローテル大家によるオリジナルのあらすじです※

Filmarks短評

評価:★★★(星3)
※キツめではないがジャンプスケアあり

 

ネタバレなし感想

■生理的嫌悪感(気持ち悪さ)の表現が秀逸

本作はホラーにおける重要ポイントをしっかり抑えています。それは観た人を気味悪がらせるということです。生理的にうわ! となるような表現も散りばめられており、鑑賞者をイヤ~な気持ちにさせること請け合いでしょう※褒めています!
そして恐怖表現も(禍禍女の正体を探る中盤以降は薄れ気味になるにせよ)ちゃんとあります。本作は脚本の展開の都合により、終盤あたりから生理的嫌悪感も恐怖表現も印象が薄れてしまうのですが、そこまではかなりしっかりホラーしている。
予告的にはその辺りがあまり察することができない構成でびっくりしました。いいんだそういうの。

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重みのある映像で、陰影にも雰囲気にもこだわり、豪華な役者陣を使って叫んだり狂ったり苦しんだりする人間たちを描いており好感が持てます。本当に初監督作品ですか……?

 

■恋愛映画史上最狂の復讐劇、という触れ込みについて

本作が恋愛映画かつ復讐映画であるかと言われると結構怪しいラインなので、その触れ込みに期待して鑑賞するのはあまりオススメしません。
ただ“狂”った人は観られる映画ではあります。問題はその狂った理由があんまりよくわからないことなのですが……自分としてはそこを掘り下げてほしかった気持ちがあります。とも思いつつ、愛に理由はないからいいのか、という結論もわかる。愛って暴力だから……。

 

ネタバレあり感想

注意
ここから先は、映画『禍禍女』のネタバレが含まれます。
ご覧になる際はご注意ください。

 

 

 

禍禍女はだ~れだ?

本作に禍禍女は二人います。
一方的な愛をぶつけてきて、その愛が成就しないと端から見たら明らかなのに愛することを止められない! そんな二人が本作にはいます。

ただその二人には大きな違いがあり、片方は生きており、片方は死んでいる……というか、怨霊です。本作、ヒトコワと幽霊ホラーのダブルパンチでございます。

怨霊の禍禍女は、元々は御神木であったものの、哀れな少女の縁切りの願いを受け取り、縁切り成就のため呪いを生んでしまった哀れな神様……と私は解釈しています。
禍禍女の行動設定もいい。身長が高く、髪の毛がぼさぼさで、ッパ、という音を発し(おそらく投げキッスイメージ?)、たどたどしく告白し断られれば目玉をくり抜く……というムーブ。一時期大ブームになった八尺様っぽい部分があるのもニクい。
彼女は妬みや恨みを抱いたレストラン店員により、レストランを訪れた幸せそうな人々を無差別に呪い殺す道具として扱われていました。マジの呪いのレストランが爆誕している
レストラン店員のやっていることは間違いなく悪なのですが、この悪がなぜか相対的に印象薄になってしまう問題が発生しています。生きている方の禍禍女・早苗です


早苗は……見た目は可愛らしい美大生なのですが、超絶悪質なストーカーです。ひろしという同じ大学に通う男に一方的に惚れ込み、相手に拒否されてもそれでも諦めずにアタックを続け、相手の家に転がり込んで身を潜めては自分の髪の毛を食べ物に仕込んだり逆にひろしの毛を回収したり、自宅のアトリエには無許可で制作したと思われるひろしの全裸の像が何体も。いや怖! 
本作では探偵役的な立ち位置を担い、禍禍女のことを徹底的に調べ上げ、挙げ句謎の黒魔術的なサムシング技術でワープまでやらかします。すべては怨霊・禍禍女に殺されてしまったひろしの無念を晴らすため。すなわち愛ゆえなのですが……。

早苗の異質性が明らかになるのが中盤あたりからで、以降はもう彼女の奇行・オンパレードなのです。本作はオムニバス形式になっており、禍禍女に苦しめられる人々を順次描いていく作風ではあるのですが、もうね、この子の印象が強すぎて強すぎてそれどころじゃないんですよね……。

つまるところ本作は禍禍女VS禍禍女なのです。目には目を、歯には歯を、化け物には化け物を、でございます。このねぇ……早苗のキャラが本当に強烈過ぎて、自分はそこがあんまり合わず。というか彼女まわりの描写が多すぎまして気が滅入ってしまいました。生きていても死んでいても冒涜気味のひろし、かわいそう……。

 

復讐とはなんだったのか

基本的にはひろしの仇を取る早苗の話ではあるのですが、その一方で純然たる復讐だったのかといわれると自分は少し疑問が残りまして。本作、結局のところ妬みの話だったんじゃないかなあと。

怨霊禍禍女は作中で一度だけ、自らの告白を受け入れてもらえるシチュエーションに遭遇します。それも早苗の目の前で。これは早苗にとって何よりもほしかった(はず?)けれど、一生手に入らないことが確定してしまったものです。

だから最後は「こんなに可愛い私じゃなくて、お前みたいなブス野郎がなんで告白成功してんだよ!!」みたいな妬みの気持ちで爆破カマしてるんじゃなかろうかと。早苗も、レストラン店員も、妬みからは逃れられない。どうしてもたくさんの人間がいる世の中で、ずるいって気持ちはなくならないものなあ。目をくり抜いて何も見ないでいられれば、そんなふうに思わずにいられるのかなあ。

禍禍女が目をくり抜く理由は、情けない私を見ないでください、とかそういう恥じらいの気持ちはありそうですが。いや違うか。シンプルに私だけを見ていて、的な話かもしれません。

 

しっかり味がする

本作、パニックホラーというには結構展開や設定が作り込まれていて、ミステリーっぽさもありますし、かなり盛りだくさんなので色々咀嚼どころがあるのですよね。あるのですが、早苗の印象が強すぎて咀嚼を阻害される……!! エンディングもひろしSONGだし!! 作家性が強すぎるよ~~~! 監督自身の恋愛体験を反映したってどの……どこ!? どれ!? き、聞かないほうがいいやつでございますかねこれ……。

 

 

映画『禍禍女』の感想でした。

二次元における、いわばヤンデレというのはなんとなく馴染みがあるというか、一時期ブームにもなりましたので慣れているのですが、三次元になると急に脳が拒否するというか、実在性が強すぎて混乱してしまうのですよね。あまりにも強烈だったものですから色々考えるのも野暮な気がしてきました。映画鑑賞、面白い……。

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