チネローテル 映画感想ブログ

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【映画感想】レンタル・ファミリー(ネタバレ有)_偽物の中にある本物の心

皆さんは、嘘についてどう思いますか?

時に必要だとか、いい嘘もあるだとか嘘も方便とか色々言われておりますが、嘘は嘘でございます。どこかで綻びが出て然りと考えるべきでしょう。それでも、どうしても必要になることがあるのも理解してはございますが、嘘を付くならばそれらが明らかになった際の覚悟までをも胸においておくべきなのでしょう。

ただ嘘に本当を織り交ぜると、少し話は変わってきます。いくらガワは嘘っぱちでも、中身が本物であれば……それは果たして嘘と言えるのでしょうか?

 

映画『レンタル・ファミリー』の感想です。

簡単あらすじ

売れない俳優フィリップは、日本に暮らしながらもあまり良い仕事に巡り会えず悩んでいた。そんな時“泣いているアメリカ人”の役を引き受ける。会場に行ってみたところそこはドラマの撮影場所でもなく、本物の葬儀場だった――これをきっかけに、レンタル家族ビジネスを行う会社にスカウトを受けることになるのだが……。

※上記は、筆者チネローテル大家によるオリジナルのあらすじです※

Filmarks短評

評価:★★★★(星4)
※微・性描写あり

 

ネタバレなし感想

■カメラや構図、色合いがいい!

本作、かなり画面がお洒落です。冒頭のタイムラプスの魅せ方もそうですし、全編通してずっと印象的なカメラワークが続きます。かといって変に盛っているわけでもなく伝わる部分はちゃんと伝わる。役者陣の演技をしっかり支えており、かなり見応えがございました。

 

■実力派役者陣の演技

フィリップ役のブレンダン・ジェームズ・フレイザー氏や大ベテランの柄本明氏など、役者陣の演技がとてもよかったです。非常に自然で引き込まれました。フレイザー氏は役者ながらもレンタル家族を演じる役という結構難しい役どころと感じたのですが、しみじみ良いな……と思うシーンがいくつもございましたね。

フレイザー氏、なんとなく見覚えがあるような? と思ったのですがハムナプトラシリーズの俳優さんだったのですね。こういう役柄もできる方なのか。

 

ネタバレあり感想

注意
ここから先は、映画『レンタル・ファミリー』のネタバレが含まれます。
ご覧になる際はご注意ください。

 

 

 

レンタル家族の歪さ

ミアに接するフィリップの優しさが本物であったように、喜久雄を九州へ連れていきたいというフィリップの想いが本物であったように、レンタル家族という偽物を演じるシステムの中にも真実があって、という話はそうだよなぁとも思いつつ難しいなあとも。歪。色々な事情があるのはわかりますが、プロフェッショナルである以上本当は深入りしたらいけないのだろうし(回らなくなる)、けれどそれでは顧客の願いを叶えられなくなってしまうし……。

本作のレンタル家族システムはだいぶ人の心に寄り添った形になっていて、すごいけどその一方で絶対に破綻するだろ! と思わざるを得ず。実際微妙に破綻しますしね。依頼人は演者を何だと思っているのか。いくら役者めいているとはいえ心のある人間ですからね。とはいえどれくらいの依頼量でやっているのだろう。お金を払ったからといってしていいことと悪いことはございますが。本作のラストで一応謝罪依頼は受けないという制約が設けられることにはなりましたが、それだけでなんとかなるかと言われると怪しいところ。

どちらにせよ、さすがに人員少なすぎませんか? 絶対にどこかでバレるって! 世界は案外狭いって! 

あと、話としては好きでしたが喜久雄まわりの話結構残酷じゃございませんか? 喜久雄が亡くなったからなあなあになっておりますが、本来は喜久雄から聞いた話を記事にまとめる記者という役柄でフィリップは彼とともにいたのですし。それがないというのはだいぶ煮えきらない……と思いつつ、記者と人という関係を越えた友人になっていたからいいのですが。偽物から始まったとしてもそこから紡がれた関係性は本物だものなあ。

 

デリヘル嬢……

もちろん最中の描写はございませんが、フィリップがデリヘル嬢と思わしき女性とベッドで寝ているシーンが出た時はだいぶ面食らってしまいました。そういう場面のある映画だとは思わず……とはいえ、必要ではある意味もわかりはするのですがね。彼女たちも本当の恋人関係ではなく肉体関係だけを結ぶという意味ではどこかレンタル家族システムと似ている……というのは女性側もちらっと言っていましたし。

お金で愛を買っている、みたいな考え方をすれば確かに共通点があるのかも。なので大事な要素だと理解はしているのですが、それはそれとして驚いてしまったのは事実。ただ不倫や浮気の謝り役とか、ミョ~に生々しい場面もありましたしね。偽物なのに生々しさは本物なのだ……。

 

代表の家族

多田の一家団欒シーンが最初に出てきた時、コレもしかして偽物なのでは? と一瞬思っていやいやまさか……と考え直したのですが、その後再度出てきてやっぱり偽物だったとわかった時のゾッとする感じ、よかったですね。あそこだけホラーですよ。あるいは世にも奇妙な物語。顧客の立場になって物事を考えるための施策なのかなと解釈しつつ怖すぎますよ。家にいるときも仕事から離れられていない……。

警察や弁護士を偽る場面もだいぶホラーでしたが。というか余談ですがどうして喜久雄は聞かれるまで証言してくれていなかったのか。あの辺りは描写ほぼ省かれていますし仕方ないのか。体調都合もあるものな。

 

 

映画『レンタル・ファミリー』の感想でした。

レンタル……ではありませんが、ペットロボットなる存在も少し近しいテーマがあるのかなと感じました。あれらも本物の生き物ではない偽物ですが、あれらが存在することで周囲に与える影響や人が向ける愛情は本物ですからね。そもそもあらゆることを本物偽物と区切るのもまあまあおこがましいことなのかも。

映画だってフィクション(偽物)だけれど、鑑賞によって得られる感情は本物のはずだから。

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