チネローテル 映画感想ブログ

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【映画感想】ランニング・マン(ネタバレ有)_地に落ちた治安に趣味悪バラエティを添えて

皆さんは、趣味の悪いバラエティ番組はお好きですか?

私は……あんまり好きではありません。悪質なドッキリであったりとか、食べ物を無駄にしていたりとか、誰かの個人的な考えをひどく罵ったりなど、悪感情を笑いに昇華しようとする作品はどうにも得意ではありません。近頃のバラエティは数十年前に比べてその手のものが減ったので、時代的にもそう思われる方は多いのではないでしょうか。ただそれは、本物であるという1点ゆえです。創作の上ならそりゃあもうなんでもウェルカム。実在さえしなければ、虚構に対していくらでも笑えましょう。

それはそれとして本作はなんかこう、笑った後に「これ本物じゃないよね……? 実話じゃないよね?」とちょっとばかり思ってしまうような作り込みが見える部分が魅力でございました。テーマ部分は実際、真に迫るものがあるのだろうけれど。

 

映画『ランニング・マン』の感想です。

簡単あらすじ

舞台は激しい格差社会の中にあるアメリカ。ベン・リチャーズは自身の信念に従った結果職を失ってしまう。妻の稼ぎをもってしても娘の一日の薬を買えないほど困窮している現状に、ベンは家族のため支配層(上流階級層)が企画運営する、金を稼げる悪趣味なバラエティ番組のオーディションに参加する。審査の結果、ベン命を賭けた30日間の鬼ごっこ<ランニング・マン>のランナーとして選ばれる……。

※上記は、筆者チネローテル大家によるオリジナルのあらすじです※

Filmarks短評

評価:★★★★(星4)

 

ネタバレなし感想

■世界観が最高過ぎ

富裕層と貧民層の露骨過ぎる差がビジュアルでしっかり描かれていて、本当に素晴らしいです! 映画の大半がデスゲーム部分のためあまり時間としてはたくさん割かれてはいないのですが、それゆえにしっかり目立つ描写として取り入れられているのが良きでございました。そして番組の「ありそう感」もまたイイ。他のデスゲームっぽい番組もあることが描写、示唆されているのがより嫌悪感を加速させる……。

 

■色々なアクション、おしゃれな音響

本作は小粒から大粒までの色々なアクションが観られてシンプルに楽しいです!

主人公は基本ずっと体を張っているので、逃亡劇におけるあらゆる事態が発生し、それらに相応しいアクションをたくさん観られます。そして音響もいい。アクションに花を添えつつ、それ以外のドラマパートの楽曲の使い方もいいですよね。これはギリネタバレではないと思うので書いてしまいますが、オープニング部分というか導入部分の楽曲、すごく良くないですか!? おしゃれだ……。

 

ネタバレあり感想

注意
ここから先は、映画『ランニング・マン』のネタバレが含まれます。
ご覧になる際はご注意ください。

 

 

 

普通の男を辞書で調べろ

別に主人公は普通の男ではないです。普通の男は隠密に必要な道具を揃えるツテを持っていないし、クライミングから落下しかけた成人男性を支えられる力はない!

そんな荒唐無稽を楽しむ内容ではあるのですが。どれだけ一般人がしんどい役回りを与えられているのか……富裕層向けドラマがめちゃくちゃくだらない内容で、貧困層向けバラエティがスリラーまみれなのもその辺りを察せられますね。怖〜。

そもそも壁の中に作ったみたいな家で生活しているインパクトがすごいですからね。これが普通なのかこの世界。主人公の特殊技能を持ってしてもこんな生活しかできないんですか。怖〜。まあそれを言うと道中登場する協力者とかも、一応一般人枠のはずなのに人を殺めてもOKになったタイプの『ホーム・アローン』かよみたいな殺人ピタゴラ装置を家の中に配置しまくっていましたが。不自由な生活は人をぶっ飛び人間に育ててしまうのかも。こうやって予期しないビッグバンが世界を動かすんですね(雑)。

 

こんなエンタメで楽しむほど荒んでるんか

結局これに尽きる。とにかくこのアメリカは治安が悪過ぎてどうしようもございません。冒頭の富裕層と貧民層が完全に分けられ、監視されまくっているディストピアめいた世界。きっと富裕層の楽しみが行き着くところまで行き着いた結果こんな趣味悪世界になってしまったのかもしれません。富裕層は下を見て笑い、貧民層も挑戦者を見て「自分はこんなバカにならない」とどこか安心するわけで。なんて悪循環!

けれど、この循環は人が人である限りどこかで破綻します。人というのは適度なストレスが必要でございますし、完全に全てを管理するにはアメリカは広過ぎる。そしていくら人からあらゆるものを奪っても、いつかどこかで抵抗するやつらが現れる。そう簡単に人間を支配できると思ったら大間違いだという怒りを全力で表現した映画でもある。ブラックコメディみたいなノリで観るというよりは、そっちの上層部への反乱みたいな色の方が強いので、その辺りを意識しつつ観る作品でした。

上に押さえつけられて不自由さ否めない日々の希望にするにはちょい荒唐無稽ですがエンタメってこうあるべきですよね。これアメリカでどういう評価になっているんだ……。

 

クライマックスの演出はちょっと惜しい

いわゆる陰謀論動画みたいなノリで、墜落からがダイジェスト気味に済まされてしまうのはかなり勿体無いなと感じました。話の途中で出ていた演出なので意味があるのも理解しつつ、もっとしっかり映像として観たかった。カタルシス的には一番アツいところじゃないですか。貧民層代表の男が、支配層の作った枠組みを見事に破壊して生存し、人々は真相を知るなんて……ダイジェストじゃもったいない! テンポが良いのは素敵なのですがね。好みもあるかも。

 

 

映画『ランニング・マン』の感想でした。

デスゲームが生まれる前にはそうなってしまうための土壌があるのだなあ、としみじみ。そうならない世の中であってほしいですが、実際に富裕層の企画したものでなかったでしたっけ、そういう……複数人を無人島に閉じ込めて殺し合いをさせるみたいな……事実は小説よりも奇なり過ぎますね。行き着くところはそうなるのか!?

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