チネローテル 映画感想ブログ

映画館で観た映画の感想を書くブログ

【映画感想】SAKAMOTO DAYS(ネタバレ有)_素晴らしいビジュアルに反して滲み出る監督色

皆さんは、実写化系の映画でお好きな作品はございますか?

私は非常に思い出深い作品がございまして、『イキガミ』という映画です。原作は全く知らず、どういうわけかたった一人田舎の映画館で鑑賞し非常に心惹かれた思い出の一作でございます。特に一番最初のエピソードと楽曲が素晴らしいので多くの方にオススメしたい。と言いながらも、オススメするには生死を扱う作品である都合上内容がちょっと重すぎるのですが……。

この『イキガミ』は週間ヤングサンデーといういわゆる青年誌で連載していた漫画らしく、青年誌媒体の漫画作品と実写化は割と相性が良いように思います。私が観た中でも『20世紀少年』『三丁目の夕日』『カイジ』など、(原作ファンが満足する出来かはさておき)ヒットした作品は多いですよね。

ですが本作は少年誌。尖ったビジュアルのキャラクターが多い場合がある少年誌作品の実写化はなかなかに大変です。事実、過去にたくさんの作品が犠牲になってきたことも記憶にございます。が、本作はビジュアルの再現度はかなり素晴らしい! のですが、なんだか別のクセが大いにある問題作でございました……。

 

映画『SAKAMOTO DAYS』の感想です。

簡単あらすじ

史上最強と謳われた殺し屋・坂本太郎は、ある日恋をした。殺し屋家業からきっぱりと足を洗い家庭を持った坂本だったが、幸せ太り(?)で大層ボリューミーな体格に激変。しかし急な退職を快く思わない同業者も多く、坂本は殺し屋に狙われる日々。坂本は愛しの家族と“不殺”の誓いを守り続けることができるのか!?

※上記は、筆者チネローテル大家によるオリジナルのあらすじです※

Filmarks短評

評価:★★★(星3)
※鑑賞時原作未読、鑑賞後に映画部分の原作エピソードを読破済

 

ネタバレなし感想

■ビジュアル部分(配役)は文句なし!

私は原作をほとんど知らなかったため、鑑賞後にとりあえず原作の映画分エピソードを読破したのですが、その上でビジュアルの再現性が本当に素晴らしい! と言えます。

主役の坂本はもちろんなのですが、相棒キャラであるシンやバイトのルー、謎のスナイパーの平助やORDERの皆様など、本当に違和感がない。この手の実写化で起こりがちな変なコスプレ感も不思議と薄いですし、この辺りは実に見事。役者皆様の演技も、基本的な部分は原作の印象から大きく乖離しているとは感じませんでした。原作の大きな魅力部分であるアクションシーンもなかなか良かったですね(特に序盤)。これだけでも本作は鑑賞価値があるといっていいでしょう。

個人的には『仮面ライダーゼロワン』でおなじみの高橋文哉氏のシンが特にハマり役でしたね。高橋文哉氏の演技を見るのは朝ドラ『あんぱん』以来だったので、久しぶりにゼロワン系統の演技の方向性が観られて嬉しかったです。

 

■監督作品を未鑑賞なのに、“感じる”監督イズム

鑑賞していて徐々に違和感というか、「この痛々しいノリは何?」「この間延びしたギャグは何だ?」「何この独特の空気感」というイヤ~な印象が出てきていて、最初は原作のノリなのだろうかと考えつつ、ふと私は鑑賞中に全く根拠のない予想を立ててしまったのです。

本作の監督、まさか福田雄一氏なのでは? と。

私は福田雄一氏の映画作品を観たことがありません。が、私の信頼できる友人に福田雄一氏の映画作品を苦手とする方がいらっしゃいまして、その方がおっしゃっていたのですよね。「間延びしたギャグ」「独特の空気感」「観ていてキツいノリ」「ムロツヨシと佐藤二朗」という福田監督作品の数々の特徴を。

この中の三点が序盤辺りで感じられて首を傾げていたら、佐藤二朗氏が登場し嫌な予感が最高潮。そして最終的にはムロツヨシ氏も登場しほとんど確信に近い思いを胸にスタッフロールを眺め、監督の名前を確かめて変な笑いが出ました。マジで福田監督じゃございませんか。福田監督作品を観たことがないのに福田雄一氏イズムを感じる映画ってなんなんだよ。逆に怖いよ。

予告の時点で気づいていなかった私もよくなかったのですが、正直福田雄一氏の作風は全く本作には合っていなかったと思います。なんかこれ嫌なノリだな~と感じた部分は全て改変にまつわる箇所だったので原作無罪です。原作はスッキリしたギャグテイストだった。どうしてこのまま実写化してくれなかったんだ。

 

ネタバレあり感想

注意
ここから先は、映画『SAKAMOTO DAYS』のネタバレが含まれます。
ご覧になる際はご注意ください。

 

 

 

原作改変部分がだいたいよくない

まあまあまあ、とりあえずSAKAMOTO DAYS原作をお読みください。
まずは1話だけでも。

ちょうど今なら映画のお話も全部読めます。

shonenjumpplus.com

どうですか? 実写版、印象結構違わないでございますか?

1話だけでも漫画版からの大きな改変部分はいっぱい!

  • 坂本が近所で慕われている描写カット
  • 隠し武器庫描写カット
  • 盗聴器描写カット
    (していたと思うのですが、ここはちょっと曖昧。見落としだったらすみません)
  • シンが坂本商店最初のバイトという描写改変、2番目に
    (※実写版ではルーが先。結果的にルーのエピソードもカット)

更にタチの悪いことに、これらの改変がほぼ意味を成してないのですよね。特にルーが先に働いている描写については多分佐藤二朗氏を出したかっただけな気がするので(記憶が定かではありませんがそうだったはず)……。

近所での慕われ描写は坂本の人柄を描くうえで重要ですし(映画だと無口で無愛想で家族以外の周囲の人とほぼ関わりがないから怖い印象が強い)、隠し武器庫とかロマンだろ! なんでカットするんだよ! 『キングスマン』でもワクワクする場面でしょうよ!

時間の都合でカットしたにしてはもっと他にカットする場所があるだろと言いたいくらいの状況なので、おそらく原作が好きな方ほど本作は怒り狂うことになると思われます。おかげで私は映画鑑賞後は坂本太郎が近所の人に慕われているという印象は全くございませんでした。むしろ人間的には多分ろくでもない方なのかなぁと。近所から坂本商店は恐れられていて絶対に立ち入ってはいけない場所だと噂され、近づいてくるのは無鉄砲な子供だけなのだろうな……みたいな。原作ではそんなことないっぽいのに。

挙げればキリがないのでこんなところで。

 

時間都合や構成都合があるのは理解するのですが、どうしても要らん会話劇追加しないでほしいという印象になってしまう。原作カットの再現の場面などはちょいちょいあるので原作へのリスペクトは感じるのですが、妙な空気感と会話劇がそれらを邪魔している! テンポが微妙! 原作の魅力はテンポの良さの比重が大きいと感じたので、その辺りと福田監督は相性が悪そうです。つまるところやはり……これは作品とのかみ合わせの問題かも。

 

安全バー 外さないで 怖すぎるから

これは原作からの要素なのですが、ジェットコースターで安全バーを外そうとするシーンで本当に怖すぎて悲鳴を押し殺していました。ガタン! じゃないが!? というかあんなことしたらジェットコースターは非常停止するはずですが!? おそらくあれ撮影場所、富士急ハイランドですよね? カートに既視感があったので多分FUJIYAMAかなと思うのですが。よく許可したな!? 

www.fujiq.jp

やっぱりFUJIYAMAと戦慄迷宮かぁ……。

 

フィクションなのは分かっていますが、実写映画においてこの描写は結構しんどいなと感じてしまいました。アニメであれば「ああそういうことが日常茶飯事の世界なのかも……」で済ませられるのですが、なまじ明らかに富士急ハイランドめいていたので頭が切り替わらず観ていて別の意味でハラハラしてしまいました。実写化に向かないエピソード過ぎる。そしてシステム調整案件過ぎる! 安全バーを外すのは本当に辞めてください!! 皆真似するなよ!?!? 

いや、まあ、さすがにしないか。FUJIYAMAでその余裕を保てる人間はそういないぞ。あれは最初のファーストドロップ前の巻き上げが一番怖いでございますから……。あれ、でもドロップ後に外そうとしてたか? そうか……。

戦慄迷宮でのドンパチは、まあ許せます。まあまあまあ。観覧車突っ込みも明らかフィクションだとわかるのでヨシ。だが安全バー外しは微妙に現実に近すぎて引っかかりすぎて。ヒーローショーもだいぶギリギリでございましたね。事故すぎる! 

すみません、色々書きましたがこれは私が遊園地に果てしない夢と重い感情を向けているタイプの民なので気にしないでください。ここはシンプルに私と相性が悪い描写だったというそれだけなので……遊園地では、事件も事故も、本当はあってはならないんだ……。子どもたちに夢と希望を与えるエンタメの楽園なのだから……。

 

めるるさん可愛すぎる

可愛い~。

シンがハマり役と書きましたが、ORDERの皆様も良かったですねえ。特にめるるさん。漫画からそのまま出てきたみたいなビジュアルで面食らいました。驚き。

本当にビジュアルはほぼ文句ないのだけれどなあ。OPも格好良かったし。

 

 

映画『SAKAMOTO DAYS』の感想でした。

配役は完全に同じで良いので別の監督で……というのはあまりにも酷な感想でございましょうか。本当に哀しい事故だっただけなのではないですかこれ。福田雄一監督の作風も輝くところでは輝くと思うのですよ。ただSAKAMOTO DAYSとはうまく噛み合わなかっただけで。ホント。

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