こんばんは、チネローテル大家です。映画感想書いてまいりましょう。
今回感想を書かせていただく作品は、正直ある演出のせいで鑑賞中はほぼまったく集中できませんでした。
このようなふうに例を上げるのはよくないとは思いつつ、過剰なナレーションであらゆることを説明されると、それはもう私にとっては「あのゲーム」でしかないのです。
映画『サンキュー、チャック』の感想です。
簡単あらすじ
※上記は、筆者チネローテル大家によるオリジナルのあらすじです※
Filmarks短評
映画『サンキュー、チャック』のレビューを書きました! https://t.co/del2WQuMJu #Filmarks #映画
— チネローテル大家 (@cinerotel) 2026年5月6日
謎のスタンリーパラブル感
評価:★★★(星3)
※ジャンプスケア風のホラー演出があります
ネタバレなし感想
■きみたちはThe Stanley Parableを知っているか
突然どうした、とお思いかもしれません。映画のブログ記事のくせになぜゲームの動画を貼るのか? と。分かっています。ですが、これは本作においてどうしても紹介せざるをえないゲームなのです。
The Stanley Parableという名作がございます。非常に有名な作品でご存じの方も多いかと思うのですが、端的に申しますとコレは主人公の動きを一生“ナレーター”が説明し続けて、そのナレーターの説明に操作で抗うか否かという、非常にメタ的な超傑作ADVでございます。本当にこのナレーターがずっと喋りっぱなし。その上「この主人公はこうなるよ」と要らんことまで付け加え、その未来予想的なナレーションに従うか否かはプレイヤー次第。これは本当に面白くて、ナレーターと徹底的に戦ってやりたい! と思う方は特にオススメです。
オススメなのですが、だからといってこの“状況を説明しまくるナレーター”を映画に持ち込まれて面白いかというと別です。急に客観性が増してしまいますからね。ゲームであればメタ構造なので気にならないかつ意味のあるものなので良いのですが、映画ではそうとは限りません。
遠回りしてしまったのですが、本作『サンキュー、チャック』は、ナレーターがマジで必要以上に状況を説明してきます。キャラクターの心情も、行動も、未来も、本当に色々事細かに補足してきます。いわば小説の地の文みたいなものがそのまま音声になって出てきてしまっているのですね。それこそ『The Stanley Parable』さながらに(偶然だと思うのですがナレーターの声も似ている)。主に3章構成のうちの2章でナレーターが出しゃばってきているような気がします。3章もいたはず。1章は多分少なめだったような。
これがまあ、個人的には非常に合わない演出でして。過激な言葉を使えば雰囲気ぶち壊しでございました。だってこの物語、どちらかといえばエモーショナルでありますもので。エモな映像だけで十分成り立つものをなぜか無駄にテキストで説明しまくる。いる!? 絶対になくてもいいのにどうして。小説が原作だから? まさか。スティーヴン・キング氏の作品映画化が全てこんな構成なわけございません。おかげで、作中で起きる様々な出来事に全く入り込めなくなってしまいました。どこか遠くで眺めている感じ。効果的とは思えません。
本作、決して悪い作品ではないのですが、このような演出まわりが合わず首を傾げてしまいました。ダンスシーンなど素晴らしいのにな。
■序盤が一番面白い
本作は、徐々に時間を遡る構成です(ただ1章に3章のチャックが出てきたり、みたいな演出もあった記憶なので、一応3章構成ではありつつも細かい部分までは厳密ではない)。この構成には意味はあるのですが、別に明かされる内容は膝を打つようなものではございません。「ああ、そういうことだったのね」みたいな。ノリとしては「今日のハンバーグは少し味が違うな。ああ、いつもはアメリカ産だったけど今日はオーストラリア産だったのか、そっかー」くらいの感じです。
事前の予告では「この広告は一体?」というミステリーのような雰囲気もありましたが全くそんなことはなく、むしろ広告の謎については一番最初の3章でサラッと明かされます。なのでその謎部分は別にそこまでなのですが、本作の魅力はその3章で結構いい感じのゆるっとした世界崩壊が描かれるところです。
ここが本当に、イイ! リアリティが妙にあって好きなんですよね。世界が終わろうとしているのに普通に仕事をする人とか、2者面談も普通に進めようとするとか、たもとを分かっていた夫婦が寄りを戻すとか、このあたりの雰囲気かなり好きでした。ここが一番演出的にも内容的にも面白い。この方向性でもっと観たかった。
……でも、それはホラーのスティーヴン・キングだね。『(死の)ロングウォーク』、たのしみだね。
ネタバレあり感想
ご覧になる際はご注意ください。
原材料を明かされても
鑑賞中、なんとなくああこれは『はたらく細胞』みたいなものなのかな、という認識で鑑賞していたのですが実際はもっと思考に寄っていて、自分が見たり聞いたり経験したことが自分の脳で宇宙となり、世界となっていくという幼少の頃のある教師の考えを体現したものだったという話でした。
なるほどそうなのか、と分かりはしました。3章の世界の構成は1章や2章で出てきたものばかりではございましたから。ただ、まあ、そうなんだ、以外のところはあまりなくて。「どうしてこんな人生の流れでチャックはダンサーにならなかったんや?」とか、「祖父は自分の死を見てしまっていたし、それ以前にも人の死を見てしまっていたものの、だからと言って天気予報士の天才のような“全てを知っている”目をするのはなんだかおかしいような気もするなあ」とか。鍵厳重にしといてめちゃくちゃ頻繁に見とるやないか!
最後は、自分は価値ある存在なんだ、だから大丈夫……みたいな感じで終わりますけど、それもなんだかよく分からなくて。何が大丈夫なんだ……? という。チャックは自分が死ぬことをすっかり忘れていたのだろうか。待っている時間が辛いみたいな話はありましたが、そのような言動はチャック自身には見られなかった……気がするので。
結局のところ、まあ一人の人間の死を悲しみだけで描かなかった作品である、という話であり、それが刺さるか刺さらないか、というそれだけのことなのであろうなと。
私は前述の通り『The Stanley Parable』を幻視してしまったこともあって、「なんで抗わないんだチャック。いや、もう運命は決まっていたか」みたいな謎の立場での鑑賞になってしまって、遠くから一人の人生の概略をぼんやり眺めているような状態になってしまったというのが本音である。ううむ、ノット・フォー・ミー映画でござりました。難しいですね。
映画『サンキュー、チャック』の感想でした。
ホラー描写が結構本格派で良かったです。
……本作においてその感想になるのはまあまあダメな見方だなとも思う。

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