皆さんは、愛とは何だと思いますでしょうか。
あまりにも不気味な導入になってしまい恐縮でございますが、愛には様々な形がございますよね。映画で言えば『マルティネス』の隣人遺品回収からの同居妄想とか、『禍禍女』におけるストーキング行為とか、……だいぶ歪な愛の形しかすぐに挙げられなかった! 私も大概よくわかっていない側でございます。無難なところで言えば「思いやり」「優しさ」などでしょうが……コラ無難とか言うな一番大事なんだから!
今作における愛の形は歪なのかと思いきや結構真っ直ぐでした。ビジュアルが冗談抜きで不気味過ぎるだけで。
映画『TOGETHER トゥギャザー』の感想です。
簡単あらすじ
※上記は、筆者チネローテル大家によるオリジナルのあらすじです※
Filmarks短評
映画『トゥギャザー』のレビューを書きました! https://t.co/mQAGMopsWs #Filmarks #映画
— チネローテル大家 (@cinerotel) 2026年2月11日
純愛…ってことでいいですか
かなり気味悪いものの良作です
評価:★★★★(星4)
※性描写と気味悪い・痛い描写あり。PG12
ネタバレなし感想
■ただの設定一発勝ちホラーではない
倦怠期を迎えつつあるカップル! 心は離れるのに体がくっついちゃうよー!!
あまりにも設定勝ちすぎる本作ですが、内容も悪趣味な、コメディに足を半分踏み入れたかのようなB級めいた感じなのかなと思いきや結構しっかり作られており驚きました。ティムとミリーのリアリティのあるすれ違いと、愛情への不安、それらに乗ってくる説明のつかない現象……どれもがうまく組み合わさっており舌を巻きました。
それはそれとして絵面はだいぶ最悪なのですが……。本作ちゃんと怖いです。未鑑賞なのですがなんとなくは知っている『エクソシスト』を思い出す場面もございました。多分名作ホラーのオマージュが結構仕込まれている、気がいたします。設定にあぐらをかかない、丁寧な一作。絵面は本当に最悪なのですが……(二度目)。
■犬が ひどいめに あいます
ひどいめというか……なんですか、あれは……? 本作でも屈指のホラーシーンなのでは。
いえその上手いですよね、その、はい。演出としてはすっごく上手いですよね……本当に、今後何が起こるかを予期させる演出としてここは素晴らしいのです。ですが、それはそれとしてもう凄まじくショッキングな絵面を見せられることになりますので、というかこう書いているということはもう何が起こるか想像できてしまうかと思うのですが大切なことなので書かせていただきます。
犬が ひどいめに あいます(二度目)たぶん生きてはいますが……生きているほうがつらいはず……。
ネタバレあり感想
ご覧になる際はご注意ください。
アンドロギュノス信仰!?
本作なんとカルトホラー要素がございます。えぇ!?
アンドロギュノスというのは、両性具有を意味する言葉です。
個人的なイメージとしては背中がくっついた男女という存在でして、元々男女はひとつだったが彼らを恐れた神々が二人を引き裂いた……という話が通説でありますよね。個人的にアンドロギュノスまわりの話が好きなので、まさか彼らの存在が出てくるとは驚きました。
二人がくっついてしまう原因が、アンドロギュノスを信仰するカルト宗教のチャペル廃墟に遺された水なわけですが……これについては「そういうもの」として存在しており、本作は別にこれを破壊する話でもなく、現象の理由を探る話でもありません。あくまで要素でしかない。それはそれとして、ここまわりの設定はかなり好みでした。
表現も好きですね。洞窟と一体になってしまったかのようなバッドイメージ……。ああいう表現に弱いです。あと、ミリーに親しげにしてくれた同僚の指輪がなぜが2つあったのもうわぁとなりました。良すぎる。
痛い痛い! 気持ち悪い!
意識を失ったティムがシャワールームであっちこっちに体をぶつけるシーンで悲鳴を上げそうになりました。無意識の時にやらかした怪我ほど痛いものはございません。
本作、想像できる痛みみたいなものがあっちこっちに散らばっていて見ていて身が削られるようでございまして……。体の自由が利かなくてバキボキバキボキ言いながら地面を滑っていったり意味わからん態勢で這っていったり、絵面が怖すぎるし痛過ぎるし不気味過ぎる! 嫌だ!!
まず洞窟の中で足と足がくっついた時とかも、なんですかね、アロンアルファみたいな瞬間接着剤でうっかり自分の指と指の腹をくっつけてしまった記憶が蘇っていたたまれない気持ちになっていました。腕がくっついたあとに切り離すまわりとか、もう見てられなくて(ありがたいことに該当シーンは一瞬で終わりましたが。R15+だったら全部やっていたのだろうなぁ。PG12でも結構ギリギリのラインな気はするのですが……)。
別に血がドバブシャするわけでもないのにこんなに不快になるのはどういうことなんでしょうかね……。画作りが上手いということなのかと思います。ラストシーン手前の場面とかもなんかもう、気味悪がればいいのか笑えばいいのか……(あの辺りは少しだけ『サブスタンス』のモンストロな彼女を思い出しました。ネタバレキャラのため検索の際は注意)
ラブストーリーだったよ
こんなに気味悪くて見ていられないのに、ちゃんとラブ・ストーリーしていてびっくりしました。私、正直ティムがナイフを取った時は、自分の夢を優先してミリーを殺してしまうのではないかとヒヤヒヤしていたんです。なのに最後の最後でミリーに自らの思いを伝えて、そして自ら命を捨てようとするなんて……ティム、めちゃくちゃイイヤツじゃないか……。誤解していてごめんなさいと平謝り。この場面はなぜか自分にかなり刺さってしまって、ぼろぼろ泣いてしまいました。さっきまで絵面が気持ち悪すぎるだろとか、体勢ヤバすぎるやんけとか思っていたのに……。プロポーズの場面では空気を呼んでくれる引力サンキューな!
でもティムが優しい人だというのはミリーもわかっていて、けれど環境であったり状況であったりが二人を邪魔し続けており、すれ違いを生み続けていた。きっとこの田舎での事件がなければ二人は本当の思いをぶつけあうこともできずに破局していたでしょう。二人にとって、この一連の出来事は間違いなく重要で大事な試練だった。
まあそれはそれとして、二人は見事一つとなり、おそらくカルト宗教の新たな信者と成ってしまっているわけなのですが。ほ、本当によかったのかこれで……!? 二人が幸せならOKですスタンスではあるのだけれど、本当にこれでいいのか感が否めなくて見終わった後感情がだいぶ右往左往しておりました。ティムが生き残ってミュージシャンとしての願いを叶えるだとか、二人で心中したほうが幸せだったのではという気持ちもあるが、何が幸せか選ぶのは彼らなので部外者の自分は黙っておくことにします。
でも、やっぱり私は適度な距離感って大事だと思うのです。いくら大好きな人だからといって、相手が死ぬくらいなら一緒になろう(物理)と思えるくらいの相手だからといって、つい数時間前までバリバリ倦怠期だったのに片時も離れず一緒だなんてうまくいくのか? というかそもそも二人が一人になったら人間の機能としては色々どうなっちゃうんだ。ふたつがひとつになったらそれはもうひとつであって一緒という概念すら危ういのではないか……わ、わからない、わからないが……。
これもまた、愛の形ということで、ひとつ。
映画『TOGETHER トゥギャザー』の感想でした。
ここ最近観たホラー映画の中でダントツで怖かった気がします。人と人との距離感が物理的になくなるというのは何よりも怖い。悪の組織がよく計画しがちな「個人ではなく群体としてひとつになれば最強」理論、実写でやられると規模小さくてもこんなに気味が悪いのかという発見でございました。
でもやっぱりなにがあったってさ、自分は自分のままでいたいよ。
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