皆様は小規模な映画、お好きですか?
小規模映画の有名作といえばやはり『カメラを止めるな!』は外せませんよね。自主制作映画として少ない予算で作られたホラーコメディにも関わらず、脚本の秀逸さとコメディとしてのシンプルな面白さに膝を打ったものです。出演されている方々も著名な方がいらっしゃらないことが逆に功を奏し、先の展開がよりわからなくなっていたのも実によかった。何度観ても面白い一本です。
そんな思い出があったため、小規模制作と思わしきホラー作品は少々期待の気持ちが芽生えてしまうところがあるのですが……残念ながら今作、ホラーどころか、今まで見てきた映画と比べてもかなり品質に問題があるのでは、と思わせられる一作でございました。大変失礼なことを申し上げるのですがこれ、本当に全国公開の映画なのでしょうか……。
映画『とれ!』の感想です。
簡単あらすじ
※上記は、筆者チネローテル大家によるオリジナルのあらすじです※
Filmarks短評
映画『とれ!』のレビューを書きました! https://t.co/neMLc1oFDo #Filmarks #映画
— チネローテル大家 (@cinerotel) 2026年1月24日
これは…厳しいですね
面白い部分もあるにはあったのですが詰めきれていない感 いつか完全版をお願いします
評価:★★(星2)
【注意】今回のブログでは、特に批判的な感想を述べる場面が多くなってしまうことと思われます。何卒ご了承のほどよろしくお願いいたします。
ネタバレなし感想
■薄い
本作、これに尽きます。
薄い。とにかく薄いです。話も、キャラクターも、演技も。廃墟のホラー演出周辺については結構いいな、と思う場面はあったのですが、それ以外に何を申したらよいものか……。
一応ホラーコメディで中高生向けという建付けのようですが……このような感想は本当に申し上げたくないのですが、この内容で一般料金2000円というのはさすがにどうかと思ってしまいました。これは私個人の感覚というより、一般的な視点での考えです。もう少し短くして特別興行価格にしたほうがよいのではないでしょうか。
鑑賞後に公式サイトをチェックしたところ、元の映像作品が存在するのですね。ということは「ミッシング・チャイルド・ビデオテープ」のような、原作を引き伸ばした形で映画化したパターンに属する作品群のようです。自分は「ミッシング~」もあまり合わなかったので、この形式の作品群が苦手な傾向にあるのやもしれません。ただ「ミッシング~」は内容の引き伸ばし感こそあれ、ホラー雰囲気はバッチリ出ていましたし、不気味感も素晴らしくファウンドフッテージの良さなどもあり、考察の余地もあり……といった形なので比較対象としては適さないのですが。
つまり、全体的にもう少しなんとかなりませんか、といった感じでございます。具体的な言及は……しようと思えばたくさんできてしまうのですが、必要以上の批判をしたいわけではございませんので、この先はネタバレにて。
ネタバレあり感想
ご覧になる際はご注意ください。
映画館で上映する作品ではない
本作、別に映画館で鑑賞する必要はございません。これが本当に悲しい。
おそらくですが、Youtubeなどのインターネット動画サイトで鑑賞するのが一番“映える”気がするのですよね。映画前提で作られていないというか。
そもそも監督のコウイチ氏が映像制作系のYoutuberの方のため、そうなってしまうのは多少仕方ない部分もあるのかもしれませんが、本当に恐ろしくこじんまりとして終わってしまう……映像自体もチープですし、話のスケールもとっても小さいので、映画館で鑑賞する意味がない。1つの4コマ漫画を無理やり長めの読み切り作品にしたみたいな物足りなさがすごくてですね。
そもそも原作の映像はYoutubeで再生数を伸ばしたとのことなので、よし映画にしよう! となるのもちょっと変な気がします。コウイチ氏の映像を見る層と映画鑑賞する層が大きく一致している気はしないのですが。どういう企画意図なのだろう。
解像度がない
人間が全然活きていないのですよね本作。
まず冒頭の先生との面談シーンから、変。先生が棒読みでテンプレみたいなことしか言いません。美咲と皐月もだいぶ妙なのですが一旦置いておいて、皐月の家族、めちゃくちゃ人形みたいじゃないですか? 父親は同じことしか言わないし、母親は家で着るにはちょっと派手っぽい服を着ているし、ふたりとも小さなリビングで座ってテレビを観ているしで……そんな家庭イマドキあります? 家族団欒の昔のテンプレ?
あと美咲の母親もだいぶ変。亡くなった父親の写真を人形劇のキャラクターのように扱います。おままごと感。これが見ててキツイ。その対応に美咲が激昂する場面があるのですが、今? という。父親は美咲が物心付く前に亡くなっているとのことで、ずっとこの行動を起こしていたのに高校3年生で急にキレるか? と疑問が先に来てしまいました。
全体的にキャラクターが果てしなく記号化されてしまっているのですよね。舞台装置でしかない。そこに心はありません。てっきり伏線なのかと思ったのですが、何もなかった。怖!
あといちばんよくわからないのが、SNSへの解像度が低すぎる部分。
あんな作り物丸出しの映像を作って大拡散されるはずがないのですよ。それこそ霊的な理由(例えば、バズればバズるほど強くなる霊が取り憑いていて、バズるたびにお金は入るが主人公らが衰弱するとか……)があったのならわかるのですがそうでもないようですし。一番最初に再生数を伸ばした動画に映っている何者かについても、「これは人間だろうな」と想像がつきます。なので、オチに驚きも何もなく……。
まあその、可愛い女の子がメインだから再生数が伸びたのかな~みたいな想像はできなくはないですけど、中盤以降の映像は彼女ら自撮りしていないですからね。実は炎上してるだけなのでしょうか。視聴者レスポンスの描写がバッサリカットされているので、全体的に説得力のない描写になってしまっている。
こりゃバズるわ! と思わせる映像を作るのは難しいかもしれませんが、もうちょっとその、なんとか……はい。作風的にあまりダークな部分を出したくなかったのかもしれませんが、リアリティがなさすぎます。
他にも皮肉であったり、コメディチックな台詞回しであったりなどはお得意なのかなと思っていたのですが……本作、本当にコウイチ氏が撮ったんですか?
コウイチ氏らしさ(を積極的に感じられるほど熱心なファンではありませんが)的なものが全く感じられなかったのですが、もしかして制作過程の中で何かあったのでしょうか。
タイトルの話
とれ! って何だったんですか?
仮面ですか。映像ですか。だからなんなんだという感じになってしまうのですが。
本作、伏線らしきものがあっても大部分が回収されずに終了するので、結局何だったんだろうなあれ……と思う部分が多いのですよね。タイトルもそうです。漫画の超冒頭だけ感がある。
一発ネタをひたすらやって、そのまま投げっぱなしという箇所が多いように思えてしまったのが本当に残念。やりたいことはわかるような気はしたのですが、あらゆるものが追いついていない感じがしました。
もう少し、もう少しなんとかしてからまた来ていただけませんでしょうか。なにせホラー映画界って、今現在も、国内外問わずはちゃめちゃレッドオーシャンですから!
映画『とれ!』の感想でした。
個人的には楽しみにしていたのですが、こういうこともありますね。予告の時点で感じていた嫌な予感は当たっていたようです。ですが実際に鑑賞して確かめたからこそ、こうして感想をしたためられるわけでございます。これもまた得難い体験です。
なにはともあれ映像づくりって、難しいですね……。
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