チネローテル 映画感想ブログ

映画館で観た映画の感想を書くブログ

【映画感想】ウォーフェア 戦地最前線(ネタバレ有)_掠れた絶叫は銃声と爆発音に掻き消される

言葉を失くす、という言葉がありますが、本作はまさにそれです。この作品の感想を言い表そうとしても、言葉に詰まる。何を言っても軽々しく聞こえてしまう/伝わってしまうのではないか? と。

本作、容赦もなく慈悲もなく、あの時の戦争を描くことに本気です。鑑賞中、作られた映像作品であることを忘れてしまうほどには。

 

映画「ウォーフェア 戦地最前線」の感想です。

簡単あらすじ

時は2006年イラク。アメリカ特殊部隊の面々は、危険地帯ラマディにて一般民家を潜伏場所に選び、アルカイダ幹部の監視と狙撃の任務についていた。膠着状態が続くかと思われたが敵の不意をついた先制攻撃から戦闘が始まる。同任務につく他の部隊にも救援要請を送るが、別部隊でも戦闘が発生。混乱の中負傷者の護送を行おうとするメンバーだったが、搬出直前に敵の仕掛けた即席爆弾IEDが爆発し……。

※上記は、筆者チネローテル大家によるオリジナルのあらすじです※

Filmarks短評

評価:★★★★(星4)
※かなり過激な残酷描写があります

 

ネタバレなし感想

■音響による臨場感と没入感

本作における音響、あまりサウンド面に明るくない私でもぞっとするほど良かったです。一番は戦闘中の音ですね。比較的静かな部分からでも気を配っているのがわかるので緊張感が出ます。そして銃撃音、爆弾の後のこもった音から徐々に戻って来る感じの雰囲気とか、臨場感没入感が本当に凄い。映画体験として、映画の中の世界に「連れてこられる」感が強くて、もちろんだからこそしんどい映画体験でもあるのですが間違いなく素晴らしい。

これはご興味ある方はぜひよきサウンド設備のある劇場でご覧いただきたい。私が鑑賞した場所は特殊なシアターではなかったのですが、それでですら良かったのでおそらくDolbyでの鑑賞はもう凄いことになっているのではないでしょうか。

 

■ロケーションのリアリティ

このロケーション、セット……みたいなのですが、かつて“在った”感がとんでもない。一体どうやって用意したんですか……?

本作、実際の関係者の証言などから制作されていることからもちろん戦争での映像を撮影したわけではなく(そんなことできるはずもないですし)内容としても映画としての映像だというのはわかっているはずなのですが、だとしても、リアリティがありすぎてずっと怖かったです。戦争を知っている人にしか撮れない容赦のない映像。

知る怖さと、知らなくてはいけないという自分の中の心が鑑賞中ずっと殴り合っていた気がします。本音を言えば鑑賞中映画館から逃げ出したくなる場面がたくさんあったので。もちろん思っただけです。映像に圧倒され続けて体が動かなかったですしね……。

 

ネタバレあり感想

注意
ここから先は、映画「ウォーフェア 戦地最前線」のネタバレが含まれます。
ご覧になる際はご注意ください。

 

 

 

戦場を味わわされている(要確認

助けて、もうやめてくれ。私の鑑賞中の感想はとにかくそれに尽きました。

序盤こそ特殊部隊員が皆で若干アダルティなエアロビ映像を見て盛り上がっていたり(余談ですが、「サブスタンス」でもエアロビの映像が大きく扱われていましたがアメリカではメジャーコンテンツなんですかね? 日本でも一時期流行があったと聞きますが2006年ではブーム過ぎ去っていたきがする)、目的地への移動中そのエアロビのダンスを真似し合ったりなんていうどこか男子高校生然とした日常が描かれるわけですが、作戦に入れば現地の民間人の家を脅して乗っ取って壁まで壊して潜伏して……この時点で「同じ人間だけどわかりあえない」感が出ていて既に気が滅入りそうでした。監視担当の隊員もスナイパーライフルで人間の頭をナチュラルに狙い続けるし、冒頭で同じ人間なんだな~と思わせておいてああ、この人たちは戦場の人なんだと思い知らされるのがキツい

でもそんなキツさは序の口もいいところ。小型の爆弾(手榴弾的なもの)が投げ込まれて、負傷者が出て戦況が動く。この時点ではまだ鑑賞側にも余裕があって、遮蔽を使った戦い方をしているな、陣形はそうやって動くのか、移動の際はやはり一人にならないように死角を作らないようにするんだななどの認識ができていたのですが、即席爆弾IEDが爆発してからは、文字通りの地獄でございました。

人間が粘土みたいにばらばらになって吹っ飛んでいる。負傷した隊員が、あらぬ方向に曲がった自分の足を認識して絶叫する。全身粉塵まみれで気を失っている隊員。意識を取り戻しても、砂煙の中では状況の把握もできず爆弾の音の衝撃で聴覚もおかしくなっている(ここの音響、スゴ過ぎる。没入感)。負傷者を引きずる、血の跡が続く、応急処置をする、止血のための圧迫で隊員が絶叫して、処置する側の手も震えて(このあたりの表現が視覚的にも聴覚的にも本当にキツく、人によっては見ていられない)、リーダーは戦意を喪失して、偵察機の威嚇飛行の風圧で砂埃が舞い上がって……ああ、こういうことが起きていたのかという現実を否が応でも突きつけられる。頭ではわかっていても見てはいなかったから本当に理解していないことを理解させられるような映画体験でした。追体験映画なのだと私は思いました。

そして世界に在る、あるいは在った戦争は、もっともっとむごいのでしょう。苦しい。

 

 

残るのは途方に暮れた民間人

本作は現実にあったことを元としているため物語らしい物語はあまりありません。作戦が開始して、終了(撤退)するまで。これもまた追体験映画感・リアリティ感を演出していると感じます。

ですが作られた物語はなくとも、場所はあって、人はいて。そこから伺えることがある。

本作は、自宅を滅茶苦茶に汚され壊された民間人が、もう大丈夫だと互いの無事を確かめ合う場面が終盤に置かれています。特殊部隊の隊員は民間人を攻撃すまいと、そして謝罪とともに家を潜伏場所としましたが、そんなことは民間人側にとっては関係ありません。彼らが生活を壊されてしまったことには変わりないのですから。

いたたまれない気持ちになりますね。

 

 

映画「ウォーフェア 戦地最前線」の感想でした。

本作は体感することでこそ価値が生まれる映画と感じました。そのため、うまいことが言えません。この衝撃を言葉だけで伝えるにはあまりにも私の表現力が足りません。というか多分文字の限界というものがございますので、是非劇場で。題材自体の重さや前述の応急処置シーンの表現のキツさなどから軽い気持ちで観に行ける作品ではございませんが、凄まじい一作であることは事実です。A24……凄いよ……。

 

↓もしもお気に召されましたら…クリックやスターなど…励みになります! いつも感謝です↓

 

a24jp.com