チネローテル 映画感想ブログ

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【映画感想】ウィキッド 永遠の約束(ネタバレ有)_それでもあなたに逢えて良かった

皆さんには、親友と呼べる方はいらっしゃいますか?

私は……一方的にそのように呼称してよいのかは迷いつつ、そう思っている方が何名かいます。大変ありがたいことで、彼らのおかげで今の私があり、少しずつ成長できていると思っております。
お待ち下さい。少しずつ成長……? これは親友に対するスタンスとして間違っているのではないか。ビジネスの文章か? もっとシンプルでいいのではないか? 本当に親友か? 確かにそこにいた……はず……。

本作は、タイプの全く異なる二人が出会ったことでひとつの国がめちゃくちゃになって落ち着くまでの話です。国を揺るがす友情がここにある!

 

映画『ウィキッド 永遠の約束』の感想です。

簡単あらすじ

「オズの魔法使いは、魔法を使えない」。そんな事実を隠蔽し、言葉を操る動物を排斥する国のやり方に異議を唱え抗議を続ける“悪い魔女”エルファバと、オズの魔法使いの元で民衆たちの希望そのものになっていた“善い魔女”グリンダ。二人は親友でありながらも志の違いから道を違えていたが、グリンダの結婚式をきっかけに再び二人は再会することになる……。

※上記は、筆者チネローテル大家によるオリジナルのあらすじです※

Filmarks短評

評価:★★★★★(星5)
※前作鑑賞済かつ劇団四季版鑑賞済。字幕版鑑賞

 

ネタバレなし感想

■幸せな少女のままではいられない

本作は、真実から目を背け仮初の幸せに身を委ねていたグリンダがどうするのか、という話がかなり大きく扱われています。

エルファバは前作の時点からとっくに真実と向き合っていて、誰かが虐げられている中で自らの幸せを掴みに行こうとは思わず、自分の正しいと思っていることをできる成熟した精神を持っていましたが(もちろん“大人”の対応としては適していない部分もあるが)、グリンダは子供のままみたいなところがあったのですよね。きっとエルファバと出会っていなければグリンダは周囲にチヤホヤされて周りが作ってくれているふわふわふかふか快適世界に存在し続けていたのでしょう。けれど本作ではそうは言ってられなくなる……前編のグリンダのことを考えると凄く成長したなと感じました。

間違いなく本作はグリンダの物語です。子供っぽいグリンダって本当に序盤くらいしか見られないのですよね。そのことが少し寂しくも、これで彼女は名実ともに“善い魔女”になったのだろうと感じました。

 

■楽曲群が本当に素晴らしい

「Defying Gravity」のリプライズだらけだ!?

前作の大名曲「Defying Gravity」のフレーズがあちらこちらで聞こえてくる! これは個人的には凄い嬉しかったですね。大好きな曲なので。

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劇団四季版も大好きですが、こちらも好きです。とにかくまあ歌詞がいい。「西の空を見ろ!」が格好良すぎる……。

ですが本作初出の楽曲も素晴らしかった。
「For Good」は月並みな表現で恐縮ですが涙無しでは聞けない、観られない楽曲でございました。冒頭のリプライズ部分が本当にしんどくて、心のなかでは膝から崩れ落ちていましたよ。詳細はネタバレに逃がしますがそんな使い方しますゥ? という。この楽曲の場面は本作の名シーンです。

他にもグリンダが歌う「The Girl in the Bubble」もイイ。場面もいいですし、この曲は本作における象徴的な一曲ですね。

ミュージカル映画はもちろん好みが分かれることは理解しつつ、映画ウィキッドのミュージカルシーンはどれも凄い好きでした。本作はちょっと暗いシーンも多いのですがそれでもやっぱり映える。とはいえ前編の本を踏みつけるシーンは一生許しませんが(演出とわかっていても!)

 

ネタバレあり感想

注意
ここから先は、映画『ウィキッド 永遠の約束』のネタバレが含まれます。
ご覧になる際はご注意ください。

 

 

 

もう“限界”だった

Unlimited…。

まずは「For Good」の話をさせてください。

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前作で「限界はない!」と高らかに歌い上げていたはずのメロディが、真逆の「もう限界よ」という意味合いで使われてしまったのが本当に凄まじい絶望感でした。やめてよお!(Unlimited → I'm limited)

エルファバは非常に強い心を持っています。国に悪者に仕立て上げられても、動物たちがオズからいなくなろうとしていることを知っても、妹から嫌われても、妹の罪を被っても、想い人が死んだらしいことを知っても、彼女はそれでも自分が正しいと思ったことを続けてきて、善行であると信じてたった一人で戦い続けてきたわけです。

けれど彼女の善行は裏目に出てばかりで、ついには善行なんてしないと歌い上げるに至る。その挙げ句に、唯一の友人であるグリンダへ告げた言葉が「限界よ」て……あんまりじゃございませんかこんなの。ただ、自らの限界を言えるようになっているというのはいいことなのかなぁ。

結局エルファバはオズでの印象払拭は叶いませんでした。グリンダが、彼女と友達であったことを認めたことだけが救いであって……。


もしもグリンダが、エルファバとともに戦う道を選んでいたら。もしもグリンダが国のやり方にもっと早く疑問を感じていたら。もしも……はいくらあっても尽きません。
けれど、このもしもが果たされることはなかったのだろうなとも分かっています。だってそれはグリンダではないから。周囲にチヤホヤされて、すべてが自分の思い通りになってきた彼女にはできないことなのだろうことは分かります。人間的には超絶ひよっこでございますからね……。

けれどこのグリンダでなければ、エルファバとこんなに喧嘩したり仲良くなったりできなかったのだろうし。だからもうどう頑張ってもこうなるしかなかったのだなぁ。
エルファバのしんどさを想うといたたまれませんが、グリンダもまさか親友の妹の死のきっかけを作ってしまったり、親友を悪人に仕立て上げるための手駒にされることになろうとは……そのことに気づくのにも随分時間がかかってしまっていましたしね。気づいただけ成長なのですが。

だから「For Good」。出逢えて良かったと二人は歌い合う。そして「愛してる」と伝えて別れる。全然フェアじゃないと思いますし、本当にひどい話だなあとも思いますが、それでもやっぱり愛だなあ。

それはそれとしてこの世界の魔法ってロクでもないもの多すぎないですか?

 

ラストの話

正直エルファバとグリンダの話だけで何千文字も書けてしまう気がするのですが、一旦そこは自重いたしまして、ラストの話だけさせてくださいませ。

最後、グリモワールがめくられる場面。あれは劇団四季版にはなかった演出で、個人的には結構衝撃を受けました。エルファバが生存を伝えるためにグリモワールを開いたのか……!? あるいは、グリンダが魔法の力に目覚めたのか?

個人的には前者の「エルファバが生存を伝えるためにグリモワールを開いた」と考えました。次のカットでエルファバが意味深にドヤ顔していますし。いえ、もしかしたらあの場面を幻視したエルファバが「グリンダが魔法の力に目覚めたことを知って、やっぱりね私は知ってたわ」と思っている表情の可能性もあるのですが。

何にせよ鑑賞時は生存を伝えたのだろうと受け取ったので、グリンダはずっとエルファバが生きていることを知らずに生き続けると思っていたこともあり、だいぶ驚きましたね。そんなことしていいんだ!? と。

ですが、いいじゃないですかそれくらい! これがA Wicked Good Finaleなんだから!

 

 

 

映画『ウィキッド 永遠の約束』の感想でした。

劇団四季版では前半のラストに圧倒され後半の暗い話がまったく入ってこなかったので、本作は一年という物理的時間が置かれたからこそ話をしっかり追うことができました。そしてグリンダのことが好きになれました。ありがとう映画版。それはそれとして劇団四季版もまた観たいですね。来年再演するらしいのでタイミングが合えば!

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