チネローテル 映画感想ブログ

映画館で観た映画の感想を書くブログ

【雑記】これまでの映画館の私を残そう #02「映画館でのレイドバトル」

ごあんない
『これまでの映画館の私を残そう』は、
 筆者が映画館での出来事や思い出についてゆるく書くシリーズです。
 映画感想のストックがないときなどに不定期に更新されます。

今日のお話は「映画館でのレイドバトル」。それではどうぞ。

 

 

 つい、昨年のことである。とある映画の上映が東京某所のシアターで行われた。その映画はアジアのホラー作品であり、タイトルは伏せるがかなり話題になっていた。事前の宣伝が功を奏したタイプの作品で、公式アカウントでの不気味な投稿が拡散されており、合わせてSNSでも期待の反応が多く寄せられていた。アジアホラーは日本人の肌に合うものが多い印象で、既存作品でも人気のタイトルは多いことも影響したのだろう。

 上映劇場はそのシアター1箇所のみであったこともあって、私の鑑賞時は200人強のシアターが満席となった。その時点での私は満席のシアターというものを体感したことがなく非常に感動したのを覚えている。皆マナーの良い鑑賞者ばかりで、予告が始まることにはざわつきもなく皆静まり返っていた。覚悟をしていたのだろう。それこそトラウマ級の内容である可能性もあるのだ。皆で同じ敵に立ち向かうのと似たような心持ちかもしれない。ゲームのレイド戦よろしく、200人強の我々は一つの作品に向き合う気概に満ち満ちていたのだ、

 

 

 2時間弱、程なくして映画が終了した。皆席を立って、私も立つ。スクリーンの出口に向かって歩く人たちに倣って進む。私の前に歩いていたのは二人組だった。スクリーンを出て、その先の階段を降りるあたりのところで、そのうちの一人がぽつりとこう言った。

「この映画で満席になった事実が一番面白かったわ」

 悲しいかな、上映された映画は既存の名作にはとても及ばない出来だったのだ。けれど、その言葉を聞いて私は嬉しかった。生の感想だ。先程まで一緒に戦っていた、仲間のリアルな、画面越しではない言葉。ああ、映画館っていいなと深く思った出来事だった。彼らに限らず、同じスクリーンを後にする人々の雰囲気は見るからにしょんぼりげんなりしていたのだった。

 尚、私はその映画自体を結構楽しめてしまったので、同じに気持ちになれずにごめんと思ったのはここだけの話(げんなりする気持ちの理解はできる出来ではあったが、それはそれ、これはこれである)。

 

(了)