筆者が映画館での出来事や思い出についてゆるく書くシリーズです。
映画感想のストックがないときなどに不定期に更新されます。
今日のお話は「映画館のアイス」について。映画館にあった、妙に冷たいつぶつぶアイスの話です。それではどうぞ。
映画を鑑賞中に食べ物が食べられないのは今も昔も同じであるのだが、私の家族はそうではなかった。むしろ器用にポップコーンを完食していた記憶がある。その器用さの1割でも自分にあればと思うのは望み過ぎかもしれないが。
そういうわけで家族での映画鑑賞の際はフードコーナーに赴くのは基本であった。家族らが飲み物や食べ物を頼む中、私だけ何も頼まないというのは妙に許されない空気があり、いつも頭を悩ませていたのである。だいたいは小さいサイズの飲み物でお茶を濁していたが。
だがあるとき、メニューの中にそれを見つけたのだ。妙にカラフルでつぶつぶで、カップに入った小さなそれはアイス食品だった。あのサイズなら上映前に食べ切れるし持ち歩くのにもそう大変ではないと睨んだ私はそのアイスを注文したのだった。だがそう簡単な話でもなかった。そのアイスは普通のアイスと比較して非常に冷たいもので、上手く食べないと舌に引っ付いてだいぶ焦ることになるのだ。器用さのきの字もない私は、けれど他に頼むフードも思い当たらず、ここからしばらくこのアイスと戦うことになる。だが慣れれば不思議と食べずにはいられなくなり、上映前のお供となったのだった。ところがそのアイスは数年後に映画館から撤退してしまい、ラムネ味とかいう曖昧すぎるが再現物を見つけるのが難しいあのアイスがひどく恋しくもどうしようもない日々が続くことになる。映画館に行くたびにあのアイスのことを想い、求める日々は寂しく、そして映画を観に来ているのにその心持ちでいいのか……? という謎の罪悪感をも自らにもたらしていたのだった。
今は時の経過によりかのアイスシックは無くなっているが……映画館に某アイスが登場しないことを切に願っている。
それから数年後、海外に渡航した際に偶然同名のアイスを発見し喜んで食べたところ、味が全く異なり落胆することになるのはまた別の話なのだが。ジャパンナイズ。
(了)