チネローテル 映画感想ブログ

映画館で観た映画の感想を書くブログ

【今週のお題】映画における山場の話

今週のお題「山」

 

こんばんは、チネローテル大家です。今週のお題は山、ということですが私は山には登りません。そのため私にとっての山といえば、山場。労働ではいつだって山場でひいこら言っておりますが……そちらの話は楽しくございませんので、映画の山場の話でもゆるくいかがでしょうか。それではどうぞ。

 

 起承転結とか、序破急なんて言葉がある。
 物語の作り方でよく言われるテンプレートみたいなもので、この中における「転」*1とか「急」と称される部分が映画の山場であるのかなぁと。つまるところ大層盛り上がったり、ここが映画の見どころじゃいと言わんばかりの場面であろう。 それがはっきりと分かる作品が好きだ。
 最近様々な映画を鑑賞しているが、果たしてこの作品の山場はどこであったろうか? と考えた時にパッと場面が思い浮かべられる作品はほぼ好きである。おそらくその場面は監督が見せたかった部分であったり、伝えたかったりした部分なのであろうから。メッセージというか、ラブコールみたいなのを受け取れると嬉しくなる。時たま暴走している作品もあるにはあるが、それは御愛嬌というものだろう。やりすぎて監督自身の姿を幻視することもある。これは……度合いによる。作品名は伏せるが、ラストシーンで満面の笑みの監督を幻視した作品がある。さすがに頭を抱えた(好きな作品ではあるが)。

 ところで、山場がない作品なんてあるのか、という疑問もあるだろう。
 正直な話、ないとは言えない。私が受け取れていないだけという可能性もあるが、全編通して平坦であったり、ぼんやりしている作品もある。敢えてそうしている作品に関しては良いのだが、結局何を言いたかったのかわからない作品も少なくない。必ずしも悪ではないのだが、やはりわかりやすいエンタメを望む筆者としてはそのあたりが明瞭だと助かる次第である。
 逆に山場ばかりの作品もある。やりたいことを詰め込みすぎていて混沌としている作品だ。どこもかしこも旨味があると全体の味が薄まってしまう気がする。贅沢な話だが、物事におけるメリハリは非常に重要だ。劇的なドラマを生み出すためには、少し力の抜きどころもわきまえなければならない。このあたりのベストな塩梅こそが山場を生み出す重要なポイントなのだろうと考えている。

 ただ世の中には山程映画が存在しており、そうなると山場の出し方も洗練されていく。ベストな塩梅が先人により特定されていることも少なくないのだ。その結果、鑑賞した別作品の展開がなぜかほぼ一致するということも珍しくなくなってくる(オマージュの可能性もあるが)。この展開ルールを守れば面白いが、しかしルールだけでは個性がない。ゆえに、例え土台やテンプレが同じでもどのように独自性を出していくかで勝負……となる。ジャンルが違えば展開が一緒でも味は違う。

結局のところ何を表現したいか次第で全ては決まるということだ。表現したい内容によって適したテンプレートやらフォーマットが違っていて……という話で。やりたいことを素直にやった結果それっぽい形式がついてくるのが一番良さそうではあるのだが、そうなると面白い保証がなくなるため型に当てはめるよう調整すると今度は自分のやりたかった展開を削らざるを得なくなりそれでは納得がいかないからとまた調整をすることで再び全体のバランスが崩れて最初から調整をし直すみたいなことを続ければ続けるほどどんどん原型がなくなっていてゴツゴツの岩を造りたかったのにつるっつるのピッカピカみたいな石が爆誕してしまい、挙げ句の果てには造りたかった山がなくなってしまった!!

……なんてこともあるんだろうなぁと、色々な作品を鑑賞していて思う。世の中には様々な事情と制約があり、その結果生み出されているのがあらゆるコンテンツなのだ。映画だけではなく他の作品も同様に……。

小難しくなってしまった気がするが、つまるところ面白いって凄いということである。面白いがこんなにも享受できる世界に感謝せねば。そしてその面白いを作れる側にまわれればいいなと強く思う。なんだこの山のない平坦な文章は。こんなふうに整地したかったわけではない。もっと尖ってゴツゴツした感じの……手のつけられないような……そういう何かを……私は目指して走っていたのではないか…………地面のこのあたりに血痕があるのでどうやらそう考えていた過去の私はしたたかに転んでどこかに落ちていってしまったようだ。ううむ、跡形もなくなるよりは、何かしらの形を残せたほうがいいと思う。まあ、この小さな血痕もある意味先人の残した山ということで。どんなに小さくても山は山である。上にさっき拾った石ころでも置いておくか。

(了)

*1:場合によっては……というより、言葉の意味的には「結」かもしれないが、映画における「結」は話をまとめにかかっている場合も多い印象のため「転」とする